福島原発事件をふまえた法制面の見直しゼロ――危険な原発再稼働
2012年6月15日4:53PM
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の運転再開について、野田佳彦首相が6月16日にも最終決定する方針を固めたと報道されているなか、東京電力福島原発事件をふまえた法制面での事故対策がまったく進んでいない実態が明らかになった。福島みずほ参議院議員(社民)の質問主意書に対する15日の答弁で明らかになった。
東京電力福島原発事件の災害発生当時に原子力災害対策本部長を務めた菅直人前首相は、国会が設置した「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」で5月28日に「原子力災害対策特別措置法(原災法)はシビアアクシデント(過酷事故)に対応できていなかった。事故想定が不十分だった」と述べている。
政府は15日、「シビアアクシデントを想定した防災訓練を実施しなければならないとはされていなかった点等については、十分反省し、原子力防災の抜本的改善を図ることが必要である」との答弁を閣議決定した。その一方で、原子力災害対策特別措置法の改正案は今国会に提出しているものの成立しておらず、同施行令や同施行規則・防災基本計画・原子力災害対策マニュアルの改定については「現在検討中である」と、事故前となにひとつ変わっていないことを認めている。
原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「オフサイトセンターが機能せず、政府と東京電力が一体的に対応するため事故対策統合本部が設置されたが、こうした事態は原災法では想定されていません。これはほんの一例で、原災法の限界と問題点が多数浮上しています。福島原発事故の反省がなにひとつ法制面に反映されていないのに、原発を再稼働させることは無謀であり、住民の安全を守ることはできない」と批判している。
(伊田浩之・編集部)
※質問主意書と答弁の全文はこちらに掲載しています。