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玄葉外相の描く「改革」とは何か――「強い種」発言への危惧

2012年6月29日7:02PM

 玄葉光一郎外相が五月二八日、出身校である上智大学で「これからの日本外交」と題して講演した。スピード感のある国のリーダーシップについてビジョンを聞かせてほしいと問うた学生に玄葉外相はこう答えている。「ダーウィンの進化論ではありませんが、これはカトリックの考え方とちょっとどうかということもあるかもしれません。どういう種が強い人か。強い種が強い人ではない。どういう種か。時代に適応して変わり続ける種だ。だから、やや改革志向というのが強いのかなと」(外務省ホームページ)。

 危険な発想だ。

 筆者は六月六日、会見で次のように質問した。「『種』というのは、下手すると優生思想、ナチズムの思想につながったりとか、日本でも戦前、断種法というのがございましたけれども、そういったような極めて危険な受け取られ方をする可能性がありますので、ここで大臣の真意をしっかりお聞かせいただければと思います」。

 玄葉外相は「ダーウィンがまさに、いわゆる生き残っていく種というのは、強い種とかということではなくて、時代に対応していく、変わり続ける、そういう種であるということを言ったと。つまり、決してナチス等々に行き着くような話ではまったくなくて、これからのあるべき政権を考えたときに一定の改革志向というものを、やはり常に持ち続ける必要があるのだろうと」と答えた。

 玄葉外相は、政権のあり方の話だと強弁しているが、発想の根底に種を主体とする適者生存論があることは間違いないだろう。新自由主義とも親和的だ。

「種の政治思想」を公言する幹部がいる野田政権は「社会保障と税の一体改革」でどのような方向を目指すのだろうか。「適応して変わり続けることができない人たちに社会保障は必要ない」と発想しないことを願うばかりである。

(伊田浩之・編集部、6月15日号)

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