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現・元取締役へ損害賠償を求める訴訟――東電、役員支える「補助参加」要求

2012年7月3日6:23PM

口頭弁論の終了後、記者会見に臨む原告・弁護団。中央は、河合弘之・弁護団長。(撮影/小石勝朗)

 東京電力の個人株主四二人が勝俣恒久会長ら現・元取締役二七人を相手取り、福島第一原発の事故で同社が被った損害五兆五〇四五億円を個人の財産で会社に賠償するよう求めた株主代表訴訟の第一回口頭弁論が六月一四日、東京地裁(垣内正裁判長)で開かれた。原発事故の法的な責任を問う裁判が本格的に始まった。

 株主側は訴状で、事前にさまざまな警告を受けながら何らの津波対策を取らないなど、被告が原発という超危険物を扱う会社の取締役としての任務を怠ったことが原発事故を招いたと主張。勝訴した場合、東電に支払われる賠償金は、すべて原発事故の被害者への賠償に充てるよう要求している。

 一方、取締役側は「原発の設置・運転に関する注意義務違反はなかった」と反論し、株主の請求棄却を求める答弁書を提出した。東電は「今後も原発が一定の役割を担うことが想定され、円滑な電気事業の遂行を確保するために必要」として、被告の取締役を支援する「補助参加」を申し出た。

 弁論の冒頭、原告・株主側の河合弘之・弁護団長は東電の補助参加に異議を申し立てた。(1)補助参加に要する多額の弁護士費用は東電に投入された公的資金から賄われることになり、国民の理解が得られない、(2)現在の東電取締役会のメンバーは一人を除いて今回の訴訟の被告なので、取締役会で訴訟への参加を決めるのは利益相反にあたる、などを理由に挙げた。補助参加を裁判所が認めるかどうかが、訴訟の最初の焦点になる。

 続いて株主側の意見陳述が行なわれた。原告団事務局長の木村結さんは、二〇年以上、株主総会で原発からの撤退を提案し続け一蹴されてきた経緯に触れた上で、「事故以来の取締役の態度は反省しているどころか当事者としての自覚も感じられない。『会社のため』と言い訳せず個人として責任を取るよう求める」と力を込めた。

(小石勝朗・ジャーナリスト、6月22日号)

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