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過酷事故への法的対応は手つかず――「原発の再稼働は無謀」
2012年7月4日6:03PM
政府は六月一五日、東京電力・福島原発事件をふまえ「シビアアクシデントを想定した防災訓練を実施しなければならないとはされていなかった点等については、十分反省し、原子力防災の抜本的改善を図ることが必要」との答弁を閣議決定した。福島みずほ参議院議員(社民)の質問主意書に答えた。
政府は一方で、原子力災害対策特別措置法(原災法)の改正案は今国会に提出しているものの成立しておらず、事故発生時に対応を支える同施行令や同施行規則・防災基本計画・原子力災害対策マニュアルの改定については「現在検討中である」と、事件前となにひとつ変わっていないことを認めた。
また国が地方自治体及び原子力事業者等と共同して行なうこととしている原子力防災訓練については、福島原発事件の「発生以降行なわれていない」とし、具体的な実施計画すらないことがわかった。
菅直人前首相は、福島原発事件の国会事故調査委員会(五月二八日)で「原災法はシビアアクシデント(過酷事故)に対応できていなかった。事故想定が不十分だった」と述べ、「国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っており」(同答弁)と認めている。大飯原発では地震対策などが完了していないので、法制上の改善すら手つかずのまま原発を再稼働するのでは、事故時に誤りを繰り返しかねない。
原子力資料情報室の伴英幸共同代表はこう批判する。
「オフサイトセンターが機能せず、政府と東電が一体的に対応するため事故対策統合本部が設置されたが、こうした事態は原災法では想定されていません。これはほんの一例で、原災法の限界と問題点が多数浮上しています。福島原発事故の反省がなにひとつ法制面に反映されていないのに、原発を再稼働させることは無謀であり、住民の安全を守ることはできない」
(伊田浩之・編集部、6月22日号)
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