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情報開示を拒否する東電へ公開義務づけを
2012年7月6日4:50PM
菅直人前首相が東京電力本店で演説している様子が記録されているといわれるテレビ会議映像について、東電は公開を拒み続けている。その理由は「社内資料だから」だそうだ。
これに限らず、東電が公開しない情報は他にも多数ある。たとえば事故収束作業の具体的コストは「私契約」なので非公開。6月9日の電気料金値上げに関する公聴会で役員報酬額を聞かれた高津浩明常務は、個人的な話なので控えたいと回答した。
東電はそもそも記者会見の場で、情報を公開するかしないかは自らの判断で決めると説明している。
しかしながら今の東電は、多額の税金交付で生きながらえている状況にあり、7月には、国が1兆円を投じて議決権の過半数を超える株式を取得する。事実上、国有化されている企業が、自分たちの都合で開示情報を峻別するというのは納得しがたい。原発事故を起こした事業者の、被災者に対する説明義務の放棄でもあろう。
ところが枝野幸男経済産業相は、今後も東電が情報開示請求の対象になるか否かは分からない、としている。これでは国も東電の情報隠蔽に加担しているように見えてしまう。
6月12日に亡くなった弁護士の日隅一雄氏は、事故以来、東電や政府に対して情報開示を強く求めてきた。日隅氏は、環境に重大な影響を及ぼすケースでは公益企業に情報公開を義務づけている国もあると指摘していた。
私企業であることを理由にした東電の情報非開示を看過すれば、事故原因の究明に支障をきたし、血税の使途さえも不明になるおそれがある。情報開示を義務づける枠組みを、早急に整備する必要がある。
(木野龍逸・ジャーナリスト、6月22日号)