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明治大で展示 時代に抗う発禁本ズラリ

2012年7月17日5:35PM

なぜこれが? という発禁本も。(写真/片岡伸行)

 時の権力はいつの時代も、民衆の目と耳そして口をふさごうとする。東京・神田駿河台の明治大学中央図書館1階ギャラリーで7月22日まで開かれている「出版検閲と発禁本」展示。これは、“社会秩序を乱す思想書、猥褻文書だ”として抹殺され、時代に埋没した思想と表現の歴史の一端である。

 同大学が発禁本蒐集家の城市郎氏(90歳)から寄贈された約7000点の中から約250点を初公開。奇書、エログロ、思想書など時代に抗った受難の書物や文献が並ぶ。

 発禁本の「番付」も掲げられていて、東の横綱は藤村操をかたった偽書『煩悶記』、大関は労働詩集『どん底で歌ふ』、小結に小林多喜二の『蟹工船』。これらは社会の安寧を乱したとされる。西の横綱は江戸川乱歩の『蜘蛛男』、前頭には坂口安吾の『吹雪物語』も。これらは風俗を害するとされ発禁に。

「大正10年(1921年)くらいからは検閲の基準があったとされています」と、同図書館の鈴木秀子さん。つまりは、権力側に都合の悪い思想や表現を取り締まる基準ができたということだ。この時期、ロシア革命が起き、朝鮮で大規模な反日デモ、上野公園で日本初のメーデー、いわゆる大正デモクラシーも広がったが、治安維持法施行目前である。そんな時代背景を想像しながら発禁本を見ると、怒りと抵抗の息吹が伝わってくる。

(片岡伸行・編集部、7月6日号)

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