消費増税へ怒る若者たちも――官邸前「再稼働反対」20万人
2012年7月17日5:33PM
六月二九日、原発再稼働を止めようと首相官邸周辺を埋め尽くした二〇万人(当初の主催者発表)のデモ(関連記事12、58ページ)。参加した若者を中心に声を拾った。
官邸前の交差点に友人とやって来た一九歳の大学生、戸栗充慶さんは「原発について賛否両論で盛り上がっているので様子を見ようと思って来た。原発は必要だとは思うが、代替エネルギーを含めてとりあえずよく議論することが必要。こういうデモを何回も続けるうちに理解が深まると思うので、続いていくといい」と話した。
他にも「時代の変わり目を見に来た」(YOGGAさん、二三歳男性)など、日本で稀有な巨大デモ、市民の意識の変化を目撃したくて来たという声もあった。
一方で強い思いを持って来ている人々とも出会った。
「デモには初めて来たが、3・11の前から原発には反対だった。インターネットで今日のことを知り、力の一部になれたらと思い駆けつけました。野田(佳彦)総理には政治家としてではなく一人の人間として判断してほしい。お金ではなく心とか愛の側から見てほしい」(中野裕美夏さん・二四歳)
横浜市から五歳と三歳の二人の男の子を連れて来た三九歳のシングルマザーは前週二二日がデモ初参加。「また来たいと思って参加した。子どもたちも福島原発事故以後、牛乳が飲めなくなり怒っている。それが原発のせいだということも理解している。再稼働はわたしたちが決めたことではない。止めさせることができると思う」。
野田首相への不信や他の政策への不満を口にする人も多い。
「再稼働を自らの『責任』においてと首相は言ったが、どう責任を取るのかも不明瞭。結局、負担はわたしたちに降りかかる。消費税もそうだ。『造反』したのはどっちだと問いたい」(都内から来た自営業の女性・四〇代前半)
「こんなに多くの人が原発を止めようと集まったことに単純に驚いた。原発は将来どうなっていくかわからないが、何か変わるかもしれない。ただ自分としては、どちらかといえば消費税増税に怒りを感じる」(埼玉県から来たミュージシャン男性・二六歳)
首相官邸前デモが「デモ初体験」という若者が多かった。野田首相はこの「覚醒」した人々の声にどう応えていくのだろうか。
(竹内一晴・ライター、7月6日号)