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活断層の再調査をせずに再稼働した大飯原発――国民無視をいつまで続けるのか
2012年7月19日3:35PM
関西電力は七月一日、福井県の大飯原発3号機再稼働に向け、原子炉を起動した。安全対策も、重大事故の対応もすべて手つかずのまま強行された今回の再稼働は、改めて野田佳彦内閣の国民無視の姿勢を見せつける結果となった。
この日の前日から、市民が原発入り口付近の道路をバリケードで封鎖。徹夜で警官隊とにらみ合いを続けたが、起動開始三時間前の翌一日午後六時ごろ、機動隊が無抵抗で座り込みを続ける一〇〇人あまりの市民を次々に強制的にごぼう抜きにして排除した。
こうした政府・関電の強行策にもかかわらず、大飯原発再稼働にはさまざまな危険性が指摘されている。その一つが、原発構内の重要構造物である非常用取水の下を走るF6と呼ばれる破砕帯だ。地震が起きたら揺れ以前に地盤のズレが生じ、大事故になりかねない。
関西電力が大飯原発の設置許可申請(一九八五年)の際に提出した敷地内「トレンチ調査」でのF6の北面図を監修した東洋大学の渡辺満久教授らが、「活断層の可能性がある」と指摘。ところが保安院は、専門家の判断を仰ぐことなく「新しい知見ではない」と勝手に判断して、二〇一〇年の耐震バックチェックの委員会審議で北面図を提出していなかった。
このため渡辺教授や福島みずほ社民党党首ら超党派の国会議員五人が六月二七日、大飯原発構内を視察。二九日には政府に対し、「構内に掘削が可能な場所が三カ所ある」として、直ちに構内でトレンチ調査を実施するよう求めた。
だが保安院は七月三日に開いた意見聴取会でF6の資料すら提出せず、再調査に踏み切るかどうかについても判断を見合わせた。このため環境団体などは、「再調査前に起動を強行したのは許せない。四月には敦賀原発の再調査でも活断層が見つかっており、大飯も今からでも再調査に踏み切るべきだ」と要求している。
(成澤宗男・編集部、7月6日号)