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東電福島原発事故、東京・福島・金沢地検が告発・告訴を受理――検察は原発事故の真相解明を
2012年8月22日5:22PM
東京電力福島第一原発事故に関わる刑事告発および告訴が、八月一日に福島、東京の各地検で相次いで受理された。同日には金沢地検も告発を受理した。
「福島県民のみならず、日本全土の人たちを被曝にさらしてきた人間たちが一年以上野放しになってきた」
同日に東京地裁内の司法記者クラブで行なわれた会見で作家の広瀬隆さんはこう述べた。
広瀬さんがルポライターの明石昇二郎さんとともに東京地検に告発状を提出したのは昨年七月一一日。一年間以上“塩漬け”されていた告発状だが、内容を補正し今年七月三一日に再提出したその翌日の正式受理となった。地検が受理した背景について明石さんは、各事故調の報告書が出そろったことが影響した可能性に触れた。
問われる刑事責任は、(1)地震・津波対策を怠ったこと(2)原発事故後、周辺住民への責任を果たさなかったこと――二点による業務上過失致死傷罪。明石さんは「医療過誤と同様、自らの意に添わない被曝は傷害」と指摘する。
告発されたのは次の二六人。
▼東京電力=勝俣恒久前会長、清水正孝前社長ら八人。福島第一原子力発電所の事故で“英雄”視された吉田昌郎福島第一原子力発電所長(当時)の名前も。
▼原子力安全委員会=班目春樹委員長、久木田豊委員長代理ら六名。
▼原子力安全・保安院=寺坂信昭前院長ら歴代院長三人。
▼総合資源エネルギー調査会=衣笠義博東京工業大学名誉教授。
▼原子力委員会=近藤駿介委員長。
▼文部科学省=板東久美子生涯学習政策局長(当時)ら四人。
▼放射線健康リスク管理アドバイザー=山下俊一・福島県立医科大学副学長ら三人。
八月六日には、原子力規制委員会委員長候補の田中俊一氏(元原子力委員会委員長代理)も追加された。
会見の中で、広瀬さんと明石さんは「福島原発事故責任者に対する告発状受理に関する声明文」を発表した。「国会、政府の両事故調の報告書も、未解明の部分が多々ある」とし、事故調ごとに見解が一致していないことを指摘。その理由を「両事故調査には『強制捜査権』がなかったため」だとしている。再発を防ぎ、被災者救済のためにも検察に「正しい結論」を導き出してほしいと主張した。
一方、福島地検への告訴は一三二四人の福島県民(告訴団団長・武藤類子さん)が六月一一日に提出したもので、東電役員ら三三人が対象だ。今後の地検の対応について「決して楽観視していない」と語るのは弁護団長を務める河合弘之弁護士。かりに不起訴となれば、検察審査会に異議申し立てを行ない、それでも不起訴となった場合、最終的には強制起訴を目指し、訴えを順次続けていく構えだ。
一部報道で、今後起訴に結びつくかどうかは険しい道のりだという見方がある。「かりに検察の東電への強制捜査が入るとしても年を越す可能性がある」と語る明石さん。“隠蔽”体質の東電が証拠となる資料を隠す時間は十分ある。
福島地検への告訴団の代理人で、薬害エイズ事件の刑事裁判で厚生労働省官僚を有罪にさせた経験を持つ保田行雄弁護士は「検察の強制捜査権を行使して、今回の事故の原子力ムラにおける癒着の問題も含めて全面的に明らかにされるべき」と述べた。
福島地検への第二次告訴は一一月に実施予定で、全国から告訴する人を募るという。広瀬さんは、今回の告発・告訴には多くの人のカンパが寄せられていることに感謝を述べた。巨大マネーの上に成り立っている原子力ムラに対峙するには、「日本国民全体の怒りを結集させる必要がある」(河合弁護士)として、告発・告訴人はそれぞれカンパを呼びかけている。
▼東京地検への告発=三菱東京UFJ銀行 練馬平和台支店 普通口座:0162963 (株)ルポルタージュ研究所
▼福島地検への告訴=郵便振替 口座番号:02260-9-118751 加入者名:福島原発告訴団
(赤岩友香・編集部、8月10日号)
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