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元准看護師に労災認定――タルクで中皮腫発症
2012年9月24日5:07PM
手術用の薄いゴム手袋が再利用されていた頃、ゴム手袋を洗った後にまぶすタルクという粉に含まれるアスベストが原因で、中皮腫を発症した山口県の元准看護師、河村三枝さん(五二歳)に、山口労働基準監督署が労災を認めた。
こうした作業は当時一般的で、ベテランの看護師や元看護師らが中皮腫などに罹患している可能性がある。
河村さんは一九八一年から数年、山口県内の産婦人科病院に勤めていた頃、この作業を月に二、三回はしていたという。「洗濯場横の普通の部屋で粉まみれになった」と会見場で実演して見せた。
二〇〇八年ごろから疲労感を感じ、職場の健康診断で引っ掛かり、胸膜中皮腫が手術できない段階になっていた。
アスベストとの関連は思い当たらなかったが、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の古川和子会長に「粉っぽい物を扱うことはなかった?」と訊かれ、判明した。
タルクは滑石と呼ばれ、アスベスト鉱脈の近くで採掘されるので、アスベストを自然含有することが多い。八六年にベビーパウダーが問題になり、現在はアスベスト含有量〇・一パーセント以上のタルク製品は製造、使用が禁止されている。「労災が認められてうれしい。ピースサインしましょうか。名前は桂三枝でーす」と会見で朗らかに振舞った河村さん。名乗り出たのは他の医療従事者にも少しでも早く検査してほしいという一心からだ。「アスベストの作業をしていた人なら心配もするでしょうけど、こういうのは『まさか』です」。
看護師、准看護師、保健師、助産師やOBで構成する公益社団法人・日本看護協会の広報部は「まだ会員から問い合わせはないのですが、ニュースを知らない人も多いのでホームページや広報誌でお知らせします。意外なことが原因で驚いていますが、会員が病気になっている可能性もあるので健康診断などの呼びかけも検討します」としている。
(粟野仁雄・ジャーナリスト、9月7日号)