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原発事故直後の録画・録音――裁判所保管で合意
2012年9月27日6:49PM
東京電力福島第一原発事故の発生直後に東電本店と同原発を結んで行なわれたテレビ会議の録画・録音が、当面、裁判所に保管されることになった。報道関係者への一部公開が終われば消去・改竄されるのではないかという疑念は、とりあえず回避されそうだ。
東電の株主が勝俣恒久前会長ら現・元取締役二七人を相手取り、原発事故による五兆五〇四五億円の損害を個人の財産で会社に賠償するよう求めて東京地裁に起こした株主代表訴訟で、八月二九日、原告・株主側と東電が合意した。
株主側弁護団の説明によると、昨年三月一一日~三一日のテレビ会議の録画・録音(一部の映像・音声は欠落)について、(1)東電は原本を廃棄・消去しないことを約束する(2)東電はピー音やぼかしの入っていない原本のコピー(DVDとブルーレイディスクで計一五五枚)を裁判所に任意で提出する――が合意の柱。
ただ、裁判所は保管するだけで、ただちに証拠に採用して中身を調べるわけではない。証拠として開示させるには、株主側が訴訟の争点に関連する部分(日時、内容など)を特定して請求し、(1)東電が受け入れて自ら開示するか(2)裁判所が東電に対し提出命令を出す――といった手続きが必要だ。
今回の措置により、東電が開示する録画・録音が改竄されていないかどうか、株主側は裁判所が保管しているコピーと照合して確かめることができる。
株主側は、同期間のテレビ会議の録画・録音を証拠として保全(=内容を開示)するよう申し立てていたが、合意に伴い取り下げた。東電が被告の取締役を支援するために申し出ていた「補助参加」も認めることになった。
株主側にとっては不満も残る内容だが、弁護団長の河合弘之弁護士は記者会見で「国民の共有財産である録画・録音が毀滅・改竄されることはなくなった。引き続き全面開示を要求していく」と合意の意義を強調した。
(小石勝朗・ジャーナリスト、9月7日号)