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野田首相が有利と報じられる民主党代表選――「非野田勢力」結集なるか

2012年9月27日7:11PM

「野田勢力」と「非野田勢力」で算出すれば両者は拮抗している。(撮影/小谷洋之)

 野田佳彦代表(五五歳)の任期満了に伴う民主党代表選挙が九月一〇日、告示され、二一日の投開票に向け実質一〇日間の選挙戦がスタートした。

 この代表選挙で選出される新代表の任期は二〇一五年九月まで、つまり消費税一〇%値上げ(二〇一五年一〇月)直前までの三年間で、少なくとも解散までの間の総理大臣に指名され、解散総選挙の民主党の「選挙の顔」となることが求められる。

 現在の民主党は三年前の大ブームとはうって変わり、結党以来の逆風のなかにある。それは「消費税増税」などマニフェスト違反をはじめ、「三党合意」などによる野田官邸の強引な政治手法が国民に呆れられたためである。「このまま野田首相で解散したら惨敗だ」もとい「自分が犬死してしまう」との危機感から、選挙の告示直前まで野田首相に勝てる強力な候補とその支持の一本化が模索され、そんな中、細野豪志原子力行政担当相(四一歳)の出馬が取り沙汰されたが、断念を余儀なくされた。

 このまま野田首相の対抗馬はでてこないのかと心配もされたが、一〇日の告示日には「社会保障・税一体改革の実現」「TPPと日中韓FTA、東アジア経済連携協定を同時並行して推進」と再選を目指す野田首相に対して、「原発ゼロ社会の早期実現」「TPPへの参加は、国益を踏まえ慎重に行なう」を謳う赤松広隆元農林水産相(六四歳)、「増税の前にやるべきことをやる行革特命政権」「TPP交渉については不参加」「一体改革の三党合意の破棄の確認」と総理と真っ向から対決する原口一博元総務相(五三歳)、前回の代表選(二〇一一年)に続き出馬の鹿野道彦前農水相(七〇歳)が「社会保障は、政権が変わるたびに変えるべきではなく、三党合意をベースにし、民主党としての主張をしっかり行なって成案を得る」と政策をアピールした。

 それでは新代表すなわち新総理は誰になるのか。新聞・テレビなど大手メディアは菅・岡田・前原・玄葉各氏など幹部の支持をとりつけた野田首相優勢と報じる。

 だが野田首相が開票一回目で過半数を制することができず、一位・二位での決選投票で、「二・三・四位」が一本化した場合、番狂わせが起こる可能性があるのだ。

 やや乱暴な方法になるが、野田陣営と非野田陣営の実勢を算出してみたい。

 民主党の各派閥(グループともいう)は所属議員数を公表していないし、メディアなどに掲載される推定数も二重所属などがあり、代表選挙の票読みには使いづらい。

 対して確実に勢力を読めるのが一一年代表選挙「一回目投票」の投票先である。前回、野田首相に投票した勢力は今回も高い確率で野田首相に投票すると推定して「野田勢力」とし、野田首相に投票しなかった勢力を同じく「非野田勢力」とした。なお「非野田勢力」から「国民の生活は第一」の勢力は差し引いている。

◎野田勢力

野田一〇二票+前原七四票=一七六票

◎非野田勢力

(鹿野五二票+馬淵二四票+海江田一四三票)-生活四九票=一七〇票

 意外と勢力的には接戦状態となっていると見られるのだ。

 非野田勢力の候補が一本化すれば、野田首相再選の大きな壁となる。決選投票で、「野田の再選を許すまじ!」と小異を捨て「二位・三位・四位」連合が成立したら、逆転もアリなのだ。一一年代表選挙において一位・海江田氏を逆転した野田首相の如く。

 最後に、代表選挙のルールを解説しておく。代表選挙はポイント制で争われ▼国会議員には一人に二ポイントが付与され計六七二ポイント▼党員・サポーターには計四〇九ポイント▼地方議員には計一四一ポイント▼公認候補予定者には九ポイントの合計一二三一ポイント(過半数は六一六ポイント)。

 一回目の投票で過半数を取る候補がいない場合は、一位と二位を候補として、国会議員の直接投票による決選投票となる。

(小谷洋之・ジャーナリスト、9月14日号)

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