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東電が原子力改革新体制を発表――報告書を読んでない新幹部

2012年10月3日5:13PM

国会事故調の議論の経過を知らない下河邉和彦会長(左)と廣瀬直己社長。(提供/AP・AFLO)

 東京電力の下河邉和彦会長と廣瀬直己社長は、九月一一日、原子力改革に向けた新体制が整ったとして、会見を行なった。

 新体制とは(1)取締役会の諮問機関として「原子力改革監視委員会」(下河邉会長、米原子力規制委員会の元委員長、櫻井正史元国会事故調査委員など)が対策を提言(2)社内外の実務家・専門家からなる「調査検証プロジェクトチーム」が四つの事故調査報告を踏まえて(1)と一体で事故を検証(3)結果と提言を受けて、廣瀬社長を長とする「原子力改革特別タスクフォース」で実行する体制だという。下河邉会長は「原子力ムラと呼ばれる体質から脱却し、過酷事故は二度と起こさない」とあいさつをした。

 質疑で、記者からタスクフォースの目的を問われると「安全意識の向上のための会社上層部のリーダーシップが不足していた」ことなどへの対策と答える一方、各事故調報告の対比をどう行なうかという質問では、廣瀬社長が「調査検証プロジェクトチームの仕事となる」と丸投げ姿勢を示した。

 筆者が、国会事故調では原子力ムラを象徴する電気事業連合会が規制庁に働きかけて規制逃れを図ったことを「人災」だと称した点を質問。廣瀬社長は「そうした『誤解』が生じることのないよう」、会長は「過去のそのような疑念をクリアできる」ようにしたいと回答した。そこで、過酷事故を前提に、無用な被曝を避けるフィルターをベント弁につける海外の知見を既存施設に導入せず、規制逃れをしたことについて、国会事故調では「人災」と認定した過程を見ていなかったのかと追撃。廣瀬社長は「申し訳ないですが、全然、つつがなくは見ておりません」、下河邉会長は「残念ながら、諸々、時間的な制約もありまして、フォローしておりませんでした」と暴露。これが「新体制」であり、六月に始まった「新生東電」の化けの皮は早くもはがれた。

(まさのあつこ・ジャーナリスト、9月21日号)

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