再開発推進に転じた明石市長――住民投票求め署名
2012年10月5日2:12PM
橋下徹大阪市長と司法修習同期という弁護士出身の泉房穂氏(元衆議院議員)が市長の兵庫県明石市で、駅前再開発をめぐって「市の独走を許さず、大事なことはみんなで決めよう」と、住民投票条例の制定を求める署名運動が熱を帯びている。
同市長は、昨年四月の統一地方選挙で、市民団体が掲げる「再開発見直し」などの“市民マニフェスト”を支持。「税金の無駄遣いの象徴」と訴えて、六九票の僅差で当選したが、その後、若干の修正を加えて開発推進に転じたことから、「街の活性化に逆行し、住民自治にも反する」として、市民の反発を招いていた。
市民みんなで決める住民投票を実現する会(略称=駅前再開発・住民投票の会)によると、この計画は、ダイエー明石店の閉鎖に代わる商業施設の再開を目指して構想されたが、「民間再開発事業」とはいえ、総事業費二六六億円のうち約八三%の二二〇億円が税金。国や県・市の補助金に加えて、買い手のつかない保留床を市が買い取るなど、計画づくりから資金・人も含めて事実上、行政丸抱えの“公共事業”だ。
三四階建ての超高層マンション(約二〇〇戸)と六階建ての再開発ビルが売りだが、市が買い取って上層階(四~六階)に入る行政施設や図書館が、「集客につながらないのは明らか」と商業関係者は怒る。
剣豪・宮本武蔵が設計したといわれ、戦災でも生き残った城下町・明石だけに、「歴史と文化にマッチし、明石らしい環境を活かした生活産業都市」「市民の声が生きる分権・自治のまちづくり」が市民団体の主張だ。
明石市の人口は約二九万人。住民投票条例の直接請求は有権者二三万人の五〇分の一で可能だが、駅前再開発・住民投票の会では「市議二〇人が当選可能な五万筆以上」を目指す。九月一〇日の中間集約で、署名を集める受任者一二二六人。すでに署名は法定数を大きく超え、「明石燃ゆ。最終日の二四日に五万筆達成は確実」(松本誠筆頭代表)で、選挙管理委員会を経て市長、市議会へと提出され、可決されれば来年一月~二月ごろ、投票実施の見通しだ。
(たどころあきはる・ジャーナリスト、9月21日号)