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竹島、尖閣諸島で高まるナショナリズム抑制を――悪循環を止めるアピール発表

2012年10月18日5:55PM

記者会見での高田健氏(中央)と岡本厚『世界』前編集長(右から2番目)。(撮影/編集部)

 竹島、尖閣諸島をめぐる領有権問題を契機とした日本国内における排外主義と好戦論の高まりに抗議し、話し合いによる解決を訴える「『領土問題』の悪循環を止めよう! 日本の市民のアピール」が九月二二日に発表された。これには同月二八日までに作家の大江健三郎氏や本島等元長崎市長、坂本義和東京大学名誉教授ら有識者をはじめ、計一二七〇人の賛同人が名を連ねている。

「アピール」では冒頭、竹島について大韓帝国(当時)に対する「侵略と植民地支配」の過程で編入され、尖閣諸島も日清戦争の渦中で領土に組み入れられたとし、領土問題は「近代における日本のアジア侵略」が背景にあると指摘。

 特に尖閣諸島については、日中国交正常化四〇年を前にしながら、「友好を紛争に転じた原因は、石原(慎太郎)都知事の尖閣購入宣言とそれを契機とした日本政府の国有化方針にある」と、両者を批判している。一方で当事国のメディアに対し、「ナショナリズムを抑制し、冷静に対処する責任がある」と呼び掛けている。

 さらに「アピール」は、(1)暴力や挑発行動を排した協議と対話の重視(2)領土の係争地周辺の資源に関する共同開発・利用(3)日中韓三国と台湾、沖縄の民間レベルでの誠意と信義を重んじる対話の仕組み構築――等を提起している。

 同月二八日には国会内で記者会見が開かれ、呼び掛け人の一人である岡本厚『世界』前編集長は、「短期間でこれほどの賛同者が集まり驚いた。現状について多くの人々が懸念しているためで、好戦的主張をするような人間ばかりではないという事実を国内外に発信していきたい」と決意を表明した。

 なお、賛同人は一〇月一七日まで募集。一八日には首相官邸前で、領土問題に関する政府への抗議集会を予定。問い合わせは電話03-3221-4668(市民連絡会)まで。

(成澤宗男・編集部、10月5日号)

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