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「たちあがれ」「維新」「みんな」の“大連合”は本当にできるのか――石原新党は伸晃落選が原因?
2012年11月14日5:41PM
「もともと関心は国政にあったんでしょう。オリンピック開催の実現もおぼつかなく、トップダウン事業の新銀行東京も惨憺たる状況。三期目以降は惰性でやっていたようなもの」(都庁関係者)
一〇月二五日の緊急記者会見で都知事の辞職と新党立ち上げを宣言した石原慎太郎氏。「最後のご奉公」として石原氏が打ち立てたのが「中央官僚制度の打破」「尖閣諸島の防御」「憲法改正」などだが、どれをとっても氏がかねてより主張していたもので、特段の目新しさはない。
ある民主党都議は「総裁選で伸晃氏が落選したことが大きかったのでは」と指摘する。
石原氏は自民党衆議院議員時代の一九八九年、総裁選に臨むも落選。自らが果たせなかった夢は長男の伸晃氏に託された。しかし九月下旬に行なわれた自民党の総裁選で、伸晃氏は決選投票にも至らず落選。悲願である「石原伸晃首相」の誕生は、虚しく遠ざかった。
「都議会中、『伸晃落選』を告げるペーパーが回ってきた時、都知事の表情が急変した。よほどショックだったのだろう」(前出都議)
しかし我欲政治の実害を被るのは都民であり都庁職員だ。約六八億円の累積赤字を残したままの新銀行東京や築地移転問題、オリンピック招致、そして一五億円もの額に達する尖閣諸島購入のための寄付金は「マッチだけを擦って去った」(都庁職員)恰好となった。
このことを緊急会見で問われた石原氏は「放り出すわけじゃない。東京のために国政でいいことをやらなくちゃいけないと思っている。そういう質問が出てくること自体が心外だな」と、気にとめる様子はない。
石原氏は次期総選挙に比例区で立候補するという。「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長とも会談を重ねてきた。支持率の高い維新と石原氏の連立が実現しようとしていることに、民主党関係者は「青天の霹靂。離党予備軍がまだ十数人はいる。執行部は新党に流れる人間がこれ以上出ないか、戦々恐々としている」。
怯える執行部を尻目に、二九日には熊田篤嗣、水野智彦両衆院議員が党本部に離党届を提出した。両氏は六月の消費税増税法案に反対票を投じ、二カ月の党員資格停止処分を受けていた。合流先は石原新党ではなく減税日本と言われるが、民主党はこれで単独過半数割れまで、あと三議席となった。
一方、石原氏の船出も視界良好とは言い難い。困ったのは新党の屋台骨となる「たちあがれ日本」の関係者だ。「たちあがれ」は政界再編を立党の主眼としてきた。同党にとって、維新や維新との連携を模索するみんなの党(渡辺喜美代表)などとの大連合は、軽々に受け入れられるものではない。消費税や財政再建、原発問題など基本政策の部分でも、それぞれの主張には乖離が目立つ。
緊急会見の翌二六日、石原氏は「やっかいな問題がいろいろある」として再び会見を開いた。「たちあがれ日本の議員諸君と会ったんだけど、永田町にいる人間というのは視野が狭いというか」。
永田町関係者は、「たちあがれ」サイドを気遣う。
「事前に相談もなく、ほとんど接点のない維新やみんなと組むと言われても困るだろう」
我欲のままに突っ走る“やっかいな”この人が、もっとも意気込むのが尖閣諸島の領有権問題だ。「シナや台湾の漁船から地元の零細漁民を助ける」のだと、緊急会見でも息巻いた。
八重山漁業協同組合の上原亀一組合長は「尖閣問題が煽られると漁がしにくくなる。船泊まりや避難港の設置などを粛々とやってくれればいい」としたうえで、「台湾との漁業協議に向けて、(現時点では)地元の漁民になんの相談もない」と憤った。
政府はこのほど、対中国を見据え、台湾との漁業協議の再開を決定した。だが、協議に参加するのは「外務省、水産庁、海上保安庁などの関係者」(外務省報道課)のみという。地元の漁民にとっては石原氏の派手なパフォーマンスなど迷惑なだけなのだろう。
(野中大樹・編集部、11月2日号)
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