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脱原発に五輪招致・築地移転・新銀行東京の見直し掲げ――宇都宮氏が都知事選出馬表明

2012年11月30日7:18PM

会見で原発事故の被災者への思いを語る宇都宮健児氏。(撮影/横田一)

 日本弁護士連合会前会長で本誌編集委員でもある、宇都宮健児弁護士が一一月九日、衆議院第一議員会館で記者会見し、東京都知事選(一二月一六日投開票)への立候補を表明した。「都民と一緒に『人にやさしい都政』を取り戻すために全力を尽くしたい」と切り出した宇都宮氏は長年、サラ金問題や貧困問題に取り組み、一昨年四月からは日弁連会長として東日本大震災や原発事故の被災者救済活動に尽力してきた。宇都宮氏は「脱原発政策」を主要政策に掲げて出馬するきっかけも紹介した。

「被災地の司法書士から『大熊町の双葉病院に入院していたご主人が亡くなった時、会津若松市の温泉旅館に避難していた奥さんが死に目にあえず、今でも宿泊客に気がねをして遺影も飾れずに線香も上げられない』という話を聞きました。こういう惨いことを強いている事故だと知って憤りを感じざるを得ません。被災者と向き合いながら脱原発政策を進めないといけないと考えています」。

 質疑応答では、「大阪以上の脱原発政策を進める」「二〇二〇年の五輪招致や築地市場移転や新銀行東京については、都民の声を聞きながら見直していきたい」と、石原慎太郎都政からの転換を強調した。

 宇都宮氏の出馬表明で、脱原発などで連携する「オリーブの木構想」(小沢一郎氏が提唱)が、次期総選挙の前哨戦の東京都知事選で一足早く実現する可能性が出てきた。脱原発を掲げ始める「国民の生活が第一」「共産党」「社民党」などが脱原発統一候補として宇都宮氏を推すというわけだ。

 前日に出馬表明した松沢成文氏は「二〇三〇年の脱原発は困難」「五輪招致は見直さない」との考えを表明。宇都宮氏との違いが明確になった。「石原都政を継承する猪瀬直樹副知事と松沢氏 対 脱原発の宇都宮氏」という都知事選の構図が明らかになってきた。

(横田一・フリージャーナリスト、11月16日号)

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