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またも米紙に持論の意見広告を掲載――安倍氏らが「慰安婦」を否定
2012年12月14日3:18PM
米国ニュージャージー州の地元紙『スターレッジャー』(約二三万部)の一一月四日付に、従軍「慰安婦」に関する意見広告が掲載された。作曲家のすぎやまこういち氏やジャーナリストの櫻井よしこ氏らで構成する歴史事実委員会が呼びかけ、自民党の安倍晋三総裁や民主党の松原仁元拉致問題担当相など三九人の国会議員も賛同者として名を連ねた。
彼らの主張はおおよそ、「(日本敗戦前のアジア諸地域で)女性たちが日本軍によって意に反して『慰安婦』にさせられた、という史料はない」「逆に、そのようなことをしないよう斡旋業者らに注意を促した多くの文書がある」「彼女たちは性奴隷ではなく、商行為をしていた」といった内容だ。
なぜニュージャージー州での広告なのか。約二年前、韓国系米国人が多く居住する同州パリセイズパーク市の公立図書館に、旧日本軍に性奴隷にされた女性たちの記念碑が建立された。それに対し、今回の広告掲載を主導した人たちを中心に反発が強まっていた。
一一月六日、広告の呼びかけ人や賛同者らが東京で記者会見を行なった。すぎやま氏は「要するに元が嘘なんです。わが日本国と日本国民の名誉のかかった問題だ」などと語った(「YouTube」参照)。
歴史事実委員会は、二〇〇七年にも『ワシントン・ポスト』に類似の意見広告を出し、米国議会や一般市民から顰蹙を買い、日本の信用を落としている。
関東学院大学の林博史教授(現代史)は、今回の広告掲載について「問題の本質は、連行時の『強制』性だけにあるのではなく、女性たちが意に反して日本国(軍)の管理下で監禁・性的虐待を受けたことにある。そのことを示す史料・裁判判決や証言は数多くある。『慰安婦』制度に対しては、米国だけでなく国際社会全体で『人権侵害』との共通認識があり、そのことを理解すべきだ」と語った。
(星徹・ルポライター、11月30日号)