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都議会で民主が党議拘束――“君が代”強制を採択
2012年12月21日4:57PM
九月の武蔵野市議会で「特別支援学校の主な仕事は下の世話。不起立教員を異動させ、反省させよ」などと特別支援学校への差別発言をした男性が提出した「東京都教育委員会の一〇・二三通達(卒業式等での“君が代”起立強制)強化を求める陳情」が一一月二八日、都議会文教委員会で採択された。
西多摩地域に住むこの男性は、東京都の多くの区市の議会に今夏以降、ほぼ同じ内容で同通達の「遵守・強化」を求める陳情を提出。だが、すべて門前払い(議長預りなど)や不採択にされてきた。
都議会への陳情は当初、(1)通達違反の累犯者、悪質違犯者を厳罰に処す(2)再発防止研修強化(3)不起立しそうな教員は式に出さず――の三点だったが、審議直前に(3)を取り下げ。都庁内で被処分者の元教諭が男性に理由を問うと、「自民党の古賀俊昭先生に言われたから」と明かした。都教委は「式は全教員参加」が原則。(3)があると採択しにくいと助言されたようだ。
文教委では、その古賀都議が「日の丸の支援がなければ受賞できなかった」との山中伸弥京都大学教授のノーベル賞受賞時の発言を部分引用し、「処分され裁判に訴える教員がいるのは日本だけ」などと主張。これを受け、都教委の岡崎義隆人事部長が「減給以上の処分は違法」と判じた最高裁判決の中から「校長の職務命令は合憲」とした箇所を中心に読み上げるなどエール交換のような答弁をした。
これに対し、生活者ネットの山内れい子都議は「都教委の威圧的“君が代”処分は、生徒の基本的人権の育成を阻む」と指摘。採決で反対したのはこの山内都議だけ(共産党は委員長で採決できず)で、民主(離党者含む)・自民・公明など賛成多数で採択された。
ある民主党都議は筆者の取材に「当初、民主党文教委員五名は賛成ゼロ。だが都議会幹事長・酒井大史氏ら執行部が賛成で、党議拘束をかけたから」と、賛成理由を説明。こちらも「“お上”に反すると処分になる図式」のようだ。
(永野厚男・教育ライター、12月7日号)