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検査不足で起きた笹子トンネル事故――猪瀬氏の苦しい反論

2012年12月26日7:27PM

討論会などでは常に饒舌な猪瀬直樹氏。(撮影/横田一)

 東京都知事選の最有力候補・猪瀬直樹氏に、中央自動車道・笹子トンネル事故に関わる責任を指摘する声が上がっている。小泉純一郎政権時代の道路公団民営化を「功績」と自画自賛する猪瀬氏だが、当時、高速道路の維持管理費三割削減を提案、民営化最終案に盛り込まれた。これが、中日本高速道路が十分な検査(打音検査)をしなかった一因ではないか、と追及され始めたのだ。

 今回の内壁脱落の原因はコンクリート部分の劣化で、トンネル最上部の打音検査をすれば、発見できた可能性があるとみられている。

 一二月九日放映のフジテレビ系列の番組で、対立候補の宇都宮健児氏が「民営化以前は打音検査をしていたが、民営化後は打音検査をしていなかった」と指摘した上で、猪瀬氏が提案した維持管理費削減との関連性を問い質すと、猪瀬氏は「打音検査は二〇〇〇年に止めている。民営化は〇五年で、事実関係を正確に言わないといけません」「事実に基づかないと、デマを流したことになるから気をつけてください」と反論した。

 しかし、中日本高速は〇〇年には打音検査をしており、〇五年九月と今年九月は同検査を実施していない。当時の議事録を見ると、猪瀬氏の意見書(〇二年一一月三〇日提出)には「維持補修等の管理コストは徹底した合理化を行い削減することが求められる」とあり、最終的な委員会意見(同年一二月六日)にも「道路公団関係四公団は、新会社発足までに管理費を、具体的な業務の必要性に立ち返って徹底的に見直し、概ね三割縮減することを目指す」とされた。

 猪瀬氏は「民営化前の〇五年九月の時点で打音検査を止めていた」と釈明するだろうが、道路公団民営化はほぼ同時期の〇五年一〇月。しかも新会社発足(民営化)前から維持管理費削減は至上命題だった。

 自らに都合のよい“説明”をしているのはどちらか。

(横田一・フリージャーナリスト、12月14日号)

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