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2万人署名にルミネは沈黙――新宿ベルクの継続確定
2013年1月21日5:15PM
JR東日本子会社の駅ビル「ルミネ」から五年にわたり不当に立ち退きを求められていたJR新宿駅構内にあるカフェ「ベルク」が、ついに二年間の営業継続を勝ち取った。一九七〇年の開店以来、多くの駅利用者に愛されてきた同店だが、ルミネが建物の所有権を買収してのちは存続が危ぶまれていた。
発端は二〇〇七年二月、ルミネが旧オーナー時代からのテナントに対し、従前の普通賃貸借契約から定期賃貸借契約への変更を求めてきたことだ。前者が特段の問題がない限り自動的に更新されるのに対し、二〇〇〇年三月に施行された後者では契約期間があらかじめ限定され、満了後は貸主が一方的に契約を打ち切ることができる。ベルクは旧オーナーと普通賃貸借契約を結んでおり、この不利な契約に切り替える義務はなかったが、要求を拒否したベルクほか数店舗に対し、ルミネは一方的に契約解除を通告していた。
店長の井野朋也さん、副店長の迫川尚子さんらはブログなどで店の窮状とルミネの横暴を訴え続けた。それに応え、反対署名には約二万人が賛同。強硬な姿勢に終始し一方的な立ち退き通告を送り続けてきたルミネだが、次回の契約期限六カ月前となる今年九月末までに同社からの通告はなかった。これにより少なくとも同店の二年間の営業継続が確定。井野さんによると、ルミネ側では「二万名近い署名を(最終的に)無視できなかった」と話しているという。
井野さんはブログで、「お客様から温かく心強い励ましと応援を山のようにいただきました。店冥利につきました」と報告。ファンへの感謝の言葉を綴っている。
(古川琢也・ルポライター、12月21日号)