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特別支援学校生徒の修学旅行での死亡事故――態度“豹変”の新潟県教委
2013年1月25日5:44PM
新潟県立はまぐみ特別支援学校高等部三年の修学旅行で、体調を崩した女子生徒Aさん(当時一七歳)が死亡した事故で、当初責任を認めていた新潟県教育委員会の“豹変”が問題となっている。
旅行は二〇一一年六月一日、教頭を含む教員、校医の計一〇人が生徒五人を引率し出発。バス移動中、脳性マヒ障がいで車イスのAさんは吐き気が数回あったが、学校側は十分に休憩させなかった。
群馬県の宿泊先に到着後、発熱し食事もほとんど摂れないAさんに学校側は十分な水分補給をせず、翌二日未明から嘔吐。当初、教員だけで対応したが、午前四時に胆汁も吐き体調が悪化。養護教諭が対応したが、校医に連絡せず、診察は同五時半頃に。
水分摂取量を養護教諭は記録せず、校医は「水分補給の点滴は不要。救急車で近隣の病院に運ぶと環境ストレスになる。保護者に迎えに来させ、主治医のいる新潟の病院で受診を」と診断し、養護教諭が七時、教頭が七時半になって、保護者に迎えに来るよう連絡した。
車で二時間以上かかる高速を往復した保護者は午後二時前、病院に娘を搬送したが、すでに「点滴する血管が確保困難」の重症。翌朝、「脱水性ショック」で死亡した。
県教委の佐藤昇誠・義務教育課室長は同年一二月一二日の検証作業会議で「責任は教委にある」と謝罪したが、補償問題の出た一二年三月頃から態度が変化。一〇月二日には中島秀晴・新室長が保護者らに「県費の補償なし。日本スポーツ振興センターの見舞金のみ支給」と告げた。一二月二六・二七両日、筆者の電話取材に中島氏は、(1)補償なしは新潟大の専門医らの意見聴取で「教員や校医の対応は死亡と直接的因果関係なし」との見解が出たから(2)だが教員らは十分に対応しておらず、降格した教頭を含む四人は懈怠と判断し訓告措置にした(3)道義的責任は大、管理責任もあるが、賠償責任はノーコメント――などと答えた。
保護者らは一二月一八日、上京し「いじめ自殺以外の学校管理下での死亡事故等発生時も、第三者委員会を設置し、公平公正な検証を行うよう教委に働きかけを」と文科省に要望。林剛史・初等中等教育企画課係長らは検討する考えを示した。保護者らは近く新潟地裁への提訴を検討中だ。
(永野厚男・教育ライター、1月11日号)