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借り上げ住宅追い出しに変化――神戸市が懇談会設置へ
2013年1月28日5:09PM
阪神・淡路大震災で住居を失った人たちが暮らす借り上げ復興公営住宅からの追い出し問題を一月一一日号で報じたが、神戸市の対応に変化が見え始めている。
「入居期限二〇年の満了を前に退去を迫るが、法的根拠は薄弱。高齢者、障がい者など転居困難者も多い住民の権利を守ろう」という運動が、効果を表し始めたもので、神戸市は一月一〇日、専門家ら五人に意見を求める懇談会の設置を表明。今秋の市長選を前に、自民党など与党四会派の要望に応える形をとるが、委員の人選、議事内容、資料など一切が非公開。このため「一歩前進」の評価の一方、「密室論議での対象者の線引き、分断」へ警戒感が強まっている。
神戸市借上公営住宅入居者連絡協議会は一月一一日に声明を発表し、「すべての入居者に転居を求めることに固執」した公開質問状への期限遅れの回答に遺憾の意を表するとともに、当事者である入居者や住宅オーナー代表らを、懇談会メンバーに加えるよう求めた。
一方、越年していた兵庫県の検討協議会(同じく非公開)は、一月中旬に開催とみられ、二月議会での方針表明が注目されている。
借り上げ公営住宅は当初、県と市の合計で約六〇〇〇戸とされ、二〇一五年度以降、順次「二〇年期限」を迎えるが、これを前に、“住み替え斡旋”と称する追い出し攻勢で、五〇〇〇戸を割る現状だ。民間の兵庫県震災復興研究センターは一月一五日、入居者の不安解消を優先すべきとして「希望者全員の入居継続への明確な方針転換」を骨子とする請願書を兵庫県と神戸市に提出。三月一七日にはシンポジウムを計画している。
(たどころあきはる・ジャーナリスト、1月18日号)