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震災がれきの広域処理――宮城県が打ち切り
2013年2月5日5:23PM
宮城県は一月一〇日、今年度末まで委託を予定していた福岡県北九州市への震災がれきの広域処理を、三月末日で打ち切ると発表した。理由は「がれきの推計量が大幅に圧縮」(『河北新報』一月一一日付)されたからというが、すでに昨年五月の時点で「推計量」が大幅に下方修正されており、なぜその時点で打ち切りが検討されなかったのか疑問が持たれている。
県は北九州市に「広域処理を要請している石巻地区(石巻市、女川町等)に関しては、可燃がれきの推計量が当初予定していた一四一万トンから九〇万トンに圧縮された」(同紙)と説明。震災廃棄物対策課によれば、「九〇万トン」に下方修正したのは昨年末としているが、石巻地区のがれき総量については、すでに同年五月の見直しで六四%も大幅に縮小していた。
このため県議会でも、「県内処理で十分に間に合うのではないか」との意見が出ていた。ところが宮城県の村井嘉浩知事は昨年八月三一日、北九州市の北橋健治市長との間で可燃がれき受け入れに関する「委託契約書」に署名する。
昨年九月段階で、宮城県は可燃がれき用仮設焼却炉が二二基フル稼働状態で、同年一二月に完成した二基を合わせると一日四〇一五トンの処理能力を保有。当初、年間二万三〇〇〇トンを予定していた北九州市の受け入れ量なら、六日程度で処理がすむ計算だった。しかも、県内処理なら一トンあたり約一万五〇〇〇円ですむのに、北九州市で処理すると約八万円になり、同市では「受け入れの必要性がなく、放射能汚染を拡散する」との住民の声が出ていた。
今回の発表について、同市で反対運動を続けてきた斎藤利幸弁護士は、「昨年五月の時点で受け入れの必要がなかったことは明白だ」と語っているが、同課は「五月に見直したが、石巻地区の広域処理しなければならない可燃がれき量が相当数あった」と、「必要性」を強調している。
(成澤宗男・編集部、1月18日号)