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電力会社の利益優先の規制委検討チーム――問題だらけの「新安全基準」
2013年2月14日12:43PM
原子力規制委員会の検討チームが、原発「新安全基準」の策定を急いでいる。新安全基準は、原発再稼働の前提条件であり、住民の命に関わる重要なもの。しかし、利益相反が問題となっている学者や原子力関係者の限られたメンバーの検討だけで決められようとしている。今年七月に期限を定め、一月二一日に骨子案をまとめるという強行ぶりだ。急ぐ理由は電力会社が早めに工事にとりかかれるようにするためとも言われる。
検討チームから原発に批判的な専門家は排除されており、住民や被災者からのヒアリングもない。一方で、電力会社からのヒアリングだけは実施し、これが実質的な事前審査の場となった。
骨子案の中身も問題だ。新安全基準は、東京電力福島原発で生じた炉心溶融事故を含むシビアアクシデント(過酷事故)を盛り込むことが目玉だ。しかし骨子案は、従来の設計基準は原則変えず、シビアアクシデント基準を別立てとし、設計変更ではなく、移動式の電源車や注水設備などによる対応でも再稼働を許すものとなっている。しかし、たとえば移動式の注水設備はつなぐのに一〇時間もかかり、事故には対応できないとヒアリングの場で電力会社が吐露している。地震により構内の道路が使えなかったり、線量が高くて作業ができなかったりといったおそれもある。
「監視する市民の会」主催の政府交渉の場(一月二三日)で、元ストレステスト意見聴取会委員で原発技術者であった後藤政志氏は、原発事故で露呈した、格納容器の設計上の欠陥について、目をつぶっているのも問題だと指摘した。
検討の方法や中身においても問題のある基準で安易に再稼働を許すことがあってはならない。二月上旬にも予定されているパブリックコメントに対し、批判的な意見や疑問を集中してほしい。
(阪上武・原子力規制を監視する市民の会、2月1日号)
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