【タグ】再稼働|原子力ムラ|原子力規制庁|名雪哲夫|敦賀原発|新安全基準|日本原子力発電|日本原電|活断層
原子力規制委に市民団体が緊急要請――「名雪審議官事件」の調査を
2013年2月22日4:26PM
看板にした「中立性と独立性」は嘘だったのか。原子力規制庁の名雪哲夫審議官(五四歳)が日本原子力発電(日本原電)の常務らと面会し、敦賀原発活断層調査をめぐる公表前の文書を渡して訓告処分(二月一日付)を受けた問題で、「原子力規制を監視する市民の会」とグリーン・アクション、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)は二月五日、緊急に集めた三六〇二人の署名を東京・永田町の参議院議員会館で原子力規制庁側に提出。(1)第三者機関による調査・公表(2)名雪審議官が関与した「再稼働の新安全基準」骨子など策定作業の中止(3)原子力事業者との「面談」「あいさつ」の資料公開――などを求めた。
名雪審議官は一月二二日に東京・六本木の同庁審議官室で日本原電の市村泰規常務ら三人と、内規で禁じられている単身での面会をした上、六日後(同月二八日)に公表予定の敦賀原発の活断層評価報告書案を手渡したという。面会翌日には本人が申し出たものの、規制庁は敦賀原発活断層評価会合や「原発新安全基準の骨子」公表(一月三一日)後の二月一日になって会見を開き、処分を発表した。
規制庁側は会見で「内規違反(単身面会の禁止)」を処分理由とし、公表前の文書手渡しは守秘義務違反に当たらず「個人的な軽率な行為」(森本英香次長)とした。しかし名雪審議官は「地震・津波の新安全設計基準」や「原発再稼働の新安全基準」の策定に関与。その立場にある者が試験解答を事前に漏らすように原子力事業者に文書を渡していた構図は深刻だ。実際、日本原電は敦賀原発敷地内の断層が「活断層」と認定された当日の一月二八日、反論をまとめた見解を手早く表明している。
「市民の会」などは、今回の問題を「原子力事業者への利益供与」とし「原子力ムラの体質が変わっていない」と批判、規制委としての責任を明らかにするよう求めた。
(片岡伸行・編集部、2月8日号)