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2020年まで完成しない八ッ場ダム――猪瀬知事「答えない」
2013年2月26日5:00PM
国土交通省関東地方整備局は二月一日、八ッ場ダムの上位計画である利根川水系河川整備計画原案のパブリックコメントと公聴会を行なうことを発表した。同計画は一九九七年の河川法改正で住民意見を反映して策定するものとされ、未策定だったが、民主党政権下で同ダム本体着工の条件となり、手続きが始まった。
同日は猪瀬直樹・東京都知事の定例会見日。この日、知事は二〇一八年の国際水協会(IWA)世界会議を東京に招致すると明らかにした。二〇年の東京オリンピック招致とともに、今年九月に結果が出ると期待を込めて語った。
そこで筆者は会見で「IWAは『統合的水資源管理』(IWRM)による計画づくりを推奨しているが、利根川水系河川整備計画にはこの考えをどう位置づけるのか」また、「八ッ場ダムは本体着工から完成まで七年三カ月を要し、完成が二〇年になるが見解を」と質問。猪瀬知事は、計画へのIWRMの位置づけについて「考える」ということだったが、八ッ場ダムについては「答えない」とした。
今回、国交省の河川整備計画(原案)は計画期間を三〇年とし、ダムがなければ毎秒一万七〇〇〇トンが基準点(群馬県伊勢崎市)を流れるところ、ダムで毎秒三〇〇〇トンを貯留して一万四〇〇〇トンを流下させる想定だ。
この想定は過大であると長年批判されてきた。昨年秋に開かれた有識者会議では、「氾濫していないところまで氾濫したことになっている」(大熊孝・新潟大学名誉教授)、雨の一部しか流出しないはずの地質から「一〇〇%川へ流出する計算となっている」(関良基・拓殖大学准教授)と問題視され、以後、会議が開かれなくなっている。
東京都の足下の川で国際標準の計画作りが行なわれなければ恥をかく。八ッ場ダムの完成予定は早くとも二〇年。それは招致中のオリンピック年だ。会見では、猪瀬知事の認識の甘さが露呈された。
(まさのあつこ・ジャーナリスト、2月8日号)