「国が子どもを虐待している」
2013年3月4日4:46PM
生活保護基準引き下げに反対する集会が2月1日、東京都・永田町の衆院議員会館で行なわれ、約300人が参加した。基調講演で花園大学の吉永純氏は「本来受給資格はあるのに保護から排除された人を含む所得額下位10%と比較すれば、生活保護受給世帯の方が高くなるのは当たり前」と、下位10%と比較し基準引き下げを誘導する厚労省の報告書を批判した。
子育て世帯の受給引き下げが大きく、報告書の内容を厳密に当てはめると夫妻と子ども2人世帯の受給額が14.2%も引き下げられる。
さらに、就学援助、給食補助、年金、最低賃金などが、引き下げられた生活保護費を基準に引き下げられ、受給者以外の膨大な人びとにも影響が及ぶと複数の出席者が指摘した。しかも「報告書作成では保護利用者の意見が全く聞かれていない」(吉永氏)という。
児童養護施設から出たばかりの中3女子は施設内での出来事について「高校生の姉が里子に出されて3歳の弟が引き裂かれ、弟は姉と同年代の子を見るとおねえちゃんといって寄っていった。3人兄弟は『家では一日にパン1個で過ごしたんだよ、施設を出されるのが怖い』と話していました。生活保護費を削るのは、国自体が子どもを虐待するのと同じだと思います」と語った。説得力があり、かつ重い発言だった。
(林克明・ジャーナリスト、2月8日号)