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元同僚が都教委の主張を否定も――土肥元校長が敗訴

2013年3月5日5:20PM

「本件控訴を棄却する」。二月七日、今度こそは勝てると臨んだ東京高裁(市村陽典裁判長)での判決は地裁と同じ全面敗訴だった。

 原告の土肥信雄さん(六四歳)が都立三鷹高校の校長だった二〇〇六年、東京都教育委員会は、職員会議で意向を聞くための挙手や採決を禁じる通知を出す。「言論の自由が消える。撤回を」と、土肥さんは都内の校長でただ一人都教委に異を唱えたが、その後、ほぼ全員が採用される定年退職後の非常勤教員の採用試験で、受験者七九〇人の最下位で不合格となる。

 退職した〇九年、上記通知に加え、自身の不合格など、九事項に及ぶ都教委の教育現場への介入を争点に損害賠償を求め提訴。

「勝敗ではなく、都教委の異常さを公にしたい」(土肥さん)と始めた裁判だったが、少なくとも不合格への賠償だけは認められるはずと誰もが信じていた。

 だが、昨年一月の地裁では完全敗訴。しかし高裁では、土肥さんが「一番望んでいた」三鷹高校の元同僚教師が証言台に立った。

 挙手・採決の禁止について、「校長は日々の教職員とのコミュニケーションで意向の把握ができる。そのコミュニケーションがなく、意向が把握できないから通知撤回を求める土肥に校長の資格はない」との都教委の主張に、元同僚は「でたらめ。土肥校長のコミュニケーションはぴか一だった」と、都教委の主張を全面否定した。

 今度こそとの手ごたえ。だが、またの完全敗訴。裁判所前を埋めた支援者たちからは「えー、また」と落胆の声が上がった。だが土肥さんは、すぐに気持ちを前に向けた。「嘘つきが勝つのは許されない。悔しさをエネルギーに変え、ますますファイトが湧いてきました」。

 土肥さんは即日上告した。三月一六日一八時半から東京都の千駄ヶ谷区民会館で報告集会が開催される予定。

(樫田秀樹・ルポライター、2月15日号)

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