『宮古毎日新聞』争議が和解――正社員化には至らず
2013年3月13日6:10PM
労働組合敵視が続き、昨年四月には契約更新で合意に至らなかった契約社員組合員二人をほぼ丸一日“監禁状態”に置くという事件もあった『宮古毎日新聞』(沖縄県宮古島市)の争議が二月六日、中央労働委員会(中労委)で和解が成立し、一応の終結を見た。
『宮古毎日新聞』労組(恩川順治委員長、八人)は「一〇年以上働いている契約社員組合員三人が正社員化されないのは組合差別だ」として沖縄県労働委員会に救済を申し立てた。二〇一一年一二月の県労委の命令では正社員化の部分が却下されたため、中労委に再審査を申し立てていた。今回の和解は正社員化への道を開くものとはならなかったが、契約更新手続きや団交ルールで多くの改善点があり、前進した内容だと判断した。
同社では、会社の徹底した不誠実団交のため、団交での合意による協定や確認書が一本もない。昨年六月に県労委のあっせんで契約社員二人の就労確保で合意して初めて双方による署名押印がなされ、今回が二度目だ。第三者機関でしか合意に至ることができない労使関係が変わるか、今後の会社の姿勢を注視しなければならない。
今回の和解は、正社員化については募集手続きの透明化が図られたにとどまった。労組側は交渉による登用の道が閉ざされることを懸念したが、中労委は「補足説明」を調書に記載することを含めて「和解勧告書」とすると提案。「補足説明」の中で労組の懸念が払拭されたとして、最終的に合意を決断した。
そのほか、契約条件を一カ月前までに労組にも提示し、労組との交渉に応じることが明記された。団交ルールでも、業務時間内の開催や事務折衝の規定など、多くの改善点があった。
同労組は組合ニュースで「この和解が、長年にわたる争議状態に終止符を打ち、関係改善に向けた『光』となることを期待しています」と述べ、この和解を新たな出発点にしようと決意している。
(米倉外昭・新聞労連副委員長、2月22日号)