がれき焼却灰搬入反対の住民十数人を刑事告訴――富山市長は説明会打ち切り
2013年3月18日6:26PM
富山地区広域圏事務組合理事長の森雅志・富山市長は二月七日、昨年一二月に実施された試験焼却後の震災がれき灰の最終処分場搬入を妨害したとして、住民ら十数人を富山県警に威力業務妨害で刑事告訴した。
市は昨年一二月一八日、岩手県山田町の震災がれきを試験焼却した後の灰を大型トラック二台に載せ、市内の山本最終処分場に搬入。だが、処分場に近い池多小学校の校区約三〇〇世帯のうち二七三世帯五九四人が昨年一〇月の段階で、(1)低レベル放射性廃棄物なのにシートも敷かず、土を被せるだけの処理ではセシウムが土壌に浸透する(2)がれきを運搬する道路沿いに小学校や保育園があり、飛散したら子どもの健康に悪影響が出る――などとして、搬入反対の署名用紙を市に提出していた。
搬入当日は、母親らがトラックの前に立ちふさがり「納得のいく説明会を開いてください」などと、トラックに同行していた市の職員を一〇時間近くにわたって説得。だが、警察が「威力業務妨害で逮捕する」と警告し、トラックを通す結果となった。
昨年末の抗議行動に参加し、今回告訴された一人である田尻繁県議(社民党)は、「二五日段階で警察の方から何も言ってこない」としながら、「説明もなく、子どもの健康を案じた住民が搬入中止を求めるのは当然だ。それを告訴するとは、反対運動への見せしめではないか」と述べている。
このため富山市では三月三日、県民共生センターで午前九時から、「お母さんへの刑事告訴を許すな!」をスローガンに、「富山ガレキ阻止大会」が開かれる。主催者側は現在、集会に賛同するメッセージを募集している。問い合わせは、電話番号&ファクス 076-442-5215(宮崎方)まで。
なお市は二月一九日、三〇〇〇トンの可燃がれきの本格受け入れを発表。一七日に富山市で開かれた初めての説明会では、「広域圏事務組合は一三日にがれき処理に必要な予算案を議決している。その四日後に説明会を開くのは重大な瑕疵だ」「山田町にはほとんど広域処理に出すがれきは残っていないのでは」といった質問が集中した。だが森市長は納得のいく回答がないまま、「時間切れ」を理由に説明会を打ち切っている。
(成澤宗男・編集部、3月1日号)