谷垣法相による3人の死刑執行――「内政問題」ではない
2013年3月18日6:26PM
就任して二カ月と経たない谷垣禎一法務大臣が二月二一日、三人の死刑を執行し、執行後の会見で「死刑は日本の内政問題」と弁明した。しかしはたしてそうか。
谷垣法相は、就任時から日本の死刑制度について「被害者や国民の感情に支持されており基本的に必要」と発言し、執行への危機感が高まっていた。
同月一七日には、谷垣法相の選挙区、京都府福知山市の谷垣事務所に、地元の宗教団体を含む諸団体が連名で「執行をしないで」という要望書を届け、 受け取った秘書が「大臣に確かに伝えます」と応じてくれたばかりのことだ。
東京拘置所で執行された金川真大死刑囚、大阪拘置所で執行された小林薫死刑囚はいずれも控訴を自ら取り下げて確定している。名古屋拘置所で執行された加納恵喜死刑囚は一審では無期懲役判決だった。
小林死刑囚の場合は、「再審をしたい」という手紙を受け取った弁護士が面会に赴いたが会えなかった、その当日の執行であった。
死刑の執行は慎重の上にも慎重であらねばならないことを求める国際基準からすれば、三人とも執行されてはならない人たちだった。
昨年一二月二〇日、国連総会は死刑存置国に対して、四度目となる死刑の執行停止を求める決議を、過去最多の賛成多数で可決した。谷垣法相の発言はこの国際的潮流に反しており、むしろ恣意的に無視、敵視しようとしている。死刑問題だけが「内政問題」というのは言い訳にすぎない。
帰ってきた自民党政権下で、死刑執行の「ベルトコンベヤー」がまた回されようとしている。「内」からも「外」からも死刑廃止、執行停止の声を一層高める必要がある。
(永井迅・東京拘置所のそばで死刑について考える会、3月1日号)