宮澤・レーン事件の真相広める会――北大に申し入れ書
2013年3月21日3:03PM
太平洋戦争時の北海道帝国大学(現・北海道大学)を舞台にしたスパイ冤罪事件「宮澤・レーン事件」の真相を広めるとともに、法案作成・提出へ向け進行中の「秘密保全法」を考える集いが二月二三日、東京・新宿の常圓寺で開かれた。先月発足した「北大生・宮澤弘幸『スパイ冤罪事件』の真相を広める会」の主催。北大OBら約七〇人が参加し、宮澤さんらの名誉回復と謝罪・顕彰を求める申し入れ書を採択。宮澤さんの妹・秋間美江子さん(米国コロラド在住)との連名による申し入れ書は同月二六日に北海道大学(佐伯浩総長)に提出された。
元北大生の宮澤さんは、旅行の際に見た根室飛行場のことなどを同大学講師のレーン夫妻に話したことで、太平洋戦争開戦(一九四一年一二月八日)の朝に軍機保護法違反容疑で同夫妻とともに逮捕された。容疑を否認したものの拷問の末、懲役一五年の刑を受け、戦後釈放されたが、四七年二月二二日に二七歳の若さで亡くなった。
宮澤さんの眠る同寺で開かれた集いではまず、共同代表の一人・山本玉樹さん(北海道平和委員会理事)が札幌農学校のクラーク博士の平和思想と絡めてあいさつ。続いて自由法曹団事務局長の泉澤章弁護士が「秘密保全法阻止のために」と題して講話し、人権や思想・信条、表現の自由が侵害されるおそれのある同法の危険性を具体的に指摘した上で、多くの人に知らせていこうと呼びかけた。共同代表の一人・山野井孝有さん(元『毎日新聞』)の問題提起のあと、冤罪発生から七二年経つ現在も名誉回復されていない宮澤さんとレーン夫妻の顕彰などを求める北大への申し入れ書を採択した。
(片岡伸行・編集部、3月1日号)