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ドイツで反人種差別の行進――「過去の克服」を

2013年3月28日5:30PM

ホロコーストメモリアル前でも被害者への差異なき対応をアピール。(撮影/矢嶋宰)

「記憶の喚起・アフリカ・奴隷制度・植民地支配そして人種差別」と称した行進が二月二三日、ドイツの首都ベルリンで行なわれた。 

 国連会議関連では謝罪と賠償責任を旧宗主国が有することを初めて盛り込んだダーバン宣言の採択(二〇〇一年)にもかかわらず、ドイツでは植民地支配に対する責任問題は一貫して棚上げ状態のまま放置されていることを受け、“行進”を七年前にスタートした。

 主催者である「植民地アフリカを記憶する碑・ベルリン建立委員会」は謝罪と賠償に加え、植民地主義者の名を冠した通りの名称変更や、実験研究材料として使われた遺骨の祖国返還なども関係者や行政に求めているが、当事者が納得できるような回答はこれまでのところほとんどない。

 また欧米列強によるアフリカ分割を決定付けたコンゴ会議(一八八四~八五)が当時の首相ビスマルクの呼びかけでベルリンで開かれたことをはじめ、黒人との間に生まれた子どもらに対する強制断種や絶滅収容所での殺害・人体実験、国防軍への強制徴用などナチス政権下で繰り広げられたこれらの出来事はほとんど知られておらず、歴史の清算をめぐる「過去の克服」の取り組みからもすっぽり抜け落ちている。

 行進参加者で今年九月に行なわれる連邦議会選挙でドイツ史上初のアフリカ系議員誕生かと呼び声の高いカランバ・ディアビー候補(セネガル出身・社民党)は「ドイツは被害者に対しても順位付けをしており、アフリカ出身者はさまざまな場面で常に最下位に置かれている」と筆者に語った。同候補は移民の子どもたちの教育環境の改善にも意欲を見せる。「教育を受ける意欲を失っている子どもが多いが、植民地支配の残したしこりも原因の一つ。しかし知識を身につけなければ現状はさらに困難なものになる。ドイツ社会に迎合しなくてもいい形での共生の道を探る機会を多く作っていきたい」。

(矢嶋宰・フォトジャーナリスト)

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