市民団体の転換要求が加速――神戸空港を発電所に
2013年4月3日6:31PM
大赤字の連続で、展望のない神戸空港を早期に廃止し、太陽光発電所に転換しようという動きが加速している。「『ストップ!神戸空港』の会」でも、転換した場合の採算性について試算を発表し、「真剣に検討するよう提起する」という開港七周年抗議集会決議も採択して、“本気度”を強調している。
同会の試算によると、滑走路や空港管理棟など約一・五ヘクタールに太陽光発電パネル七三万枚を設置し、一〇〇MW(メガワット)を発電する場合の建設費は、高く見積もって三五〇億円。三万世帯に電力を供給し、少なくとも年四四億円の収入(売上高)、一〇億円の維持管理費とみて、一〇年前後で建設費を回収し、以後は配当も可能という。
パネル一枚当たり五万円で出資を募るのをはじめ、市民参加型の事業で新たな産業・雇用も創出され、観光面でもプラスと、“一石三鳥”の効果を見込んでいる。近隣のポートアイランド二期埋立地には、すでに関西電力の変電所もあって、運輸・倉庫会社が太陽光で発電した電力の送電に活用されるなどインフラ整備も進展している。
神戸空港は、阪神・淡路大震災の復興のシンボルとして海を埋め立て、二〇〇六年二月に開港。一一年の空港利用者数が年間四二〇万人、経済効果三六〇〇億円、二万七〇〇〇人の雇用増、三〇〇億円の市税収入増を見込むバラ色の構想だったが、一二年度の旅客数は約二〇〇万人に低迷するなど、何一つ実現していない。黒字化見通しも立たず、関西国際空港とを結ぶ海上アクセスも大赤字で、独立採算制は完全に破綻している。
逆に、建設資金をはじめ借金は二三〇〇億円を超え、返済財源に予定していた空港島の九五%が売れ残って、借金返済のために新たに借金する多重債務状態。「傷の浅いうちに廃港、太陽光発電所に」という転換プランが急浮上し、神戸市に決断を迫る形となっている。
(たどころあきはる・ジャーナリスト、3月22日号)