教科書採択を巡り義家政務官が“恫喝”――竹富町に是正措置する構え
2013年4月5日6:42PM
沖縄県八重山地区の一部中学校で使用されている教科書について、義家弘介文部科学大臣政務官は三月一日、竹富町を訪れ、同町教育委員会と沖縄県教育委員会を直接指導した。義家氏が問題視しているのは竹富町で使用されている「東京書籍」版の公民教科書だ。
二〇一一年八月、石垣、竹富、与那国の三市町で構成する八重山地区採択協議会では、新しい教科書をつくる会系の育鵬社版公民教科書が答申された。その後、答申に基づいて石垣、与那国の両教委は「育鵬社」を採択したが、竹富町教委は「育鵬社」を拒否。「東京書籍」を採用した。
教科書無償措置法は、地区内で同一教科書を使用することを定めている。一方、地方教育行政法は、各市町村の教委が使用教科書を決めるとしている。
竹富町は教科書無償措置法の適用を受けられなかったため、有志の寄付で生徒に教科書を給付。文科省に対しては憲法二六条に基づき、無償給付を求めてきた。が、昨年の政権交代で事態は一変した。
会談で、義家氏は「特別法(無償法)は一般法(地教行法)に優先する」とし、「有償教科書を使用している二十数人(の生徒)を歴史上生みだしてしまっている」と、竹富町の「違法状態」を強調。三月三一日までに適切な対応をとらなければ、法的な措置も辞さないとした。この「指導」は、「育鵬社」を採用せよということだ。
竹富町の慶田盛安三教育長は「瑕疵はないので、改めるところはない」と述べ、目下、議論は平行線に終始している。
義家氏は野党の時から教科書問題に強い関心を示している。「違法状態の放置は文科相の無責任」、「民主党は日教組内閣」などとし、「教科書採択における文科省との確認事項」という文書を沖縄・八重山へ送付するなど、かねてより「是正」にむけ活動してきた。
(黒島安央・『八重山毎日新聞』東京通信員、3月22日号)