今のままではニホンウナギは絶滅!?――種の保存法の抜本改正は急務
2013年4月8日5:05PM
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)の改正案が今国会に提出される予定だが、主な改正点である取引禁止の生物を扱った業者への罰則強化をめぐって、より抜本的な改正を求める意見書が環境保護四団体、弁護士会、学会から相次いで上がっている。
種の保存法は一九七二年、国内の特殊な鳥類の取引を規制した法律が起源。九二年にワシントン条約(希少生物の国際取引を規制)に対応させて対象種を広げ改正した。しかし、希少生物の回復計画、重要な生息地の指定といった国際社会の先進制度はなく、公共事業は例外扱いで保全措置力がない。
国内希少種については、環境省が絶滅のおそれがある「レッドリスト」入りさせた種は今年二月までに三五九七種に上る。ところが、種の保存法で保全が担保されたのは九〇種にすぎない。WWFジャパンの草刈秀紀事務局長付は「昨年の生物多様性条約締約国会議における『愛知目標』で、二〇二〇年までに(九〇種に)二五種を追加すると言いますが、それでも全体(三五九七種)の三・二%にすぎません」と同法とレッドリストをリンクさせる必要を強調。
また、トラフィックイーストアジア・ジャパンは「国際社会では、希少生物の取引は今や麻薬取引と並ぶ組織犯罪と位置づけた対応を行なっている」と日本の対応の遅れを指摘。「取引禁止の野生生物を取り扱う業者には再犯性がある」として、業者の登録制、個体識別が可能な登録方法、希少種を『交雑個体』と偽って流通させる抜け穴を塞ぐべきだ」と提案する。
二月にレッドリスト入りしたニホンウナギも今のままの種の保存法では誰も対策を取る義務を負わない。漁獲減少と価格高騰による抑止力という現象に委ねれば、ワシントン条約で規制対象となった欧州ウナギに続きかねない。抜本改正がただちに必要だ。
(まさのあつこ・ジャーナリスト、3月22日号)