名古屋市のミニボートピア設置問題――誘致議決が宙吊り状態
2013年4月10日7:55PM
本誌昨年五月一八日号掲載の「名古屋市ミニボートピア誘致騒動のお粗末さ」で、競艇の小規模舟券売場の設置をめぐる一部の市会議員らの不当介入疑惑を指摘したが、一〇カ月を過ぎた現在も誘致計画は宙に浮いたままだ。その最大の原因は、河村たかし名古屋市長が議会の可決(昨年五月一六日)にもとづく合意書に署名していないためで、事業計画が一歩も前に進まなくなっているのだ。設置賛成派議員からは「これは河村市長が議会の決定を無視したままの越権行為であり首長の不作為そのものだ」といった痛烈な批判もあるが、当の市長は、そんな指摘もどこ吹く風。
筆者は今年一月二二日、河村市長の真意を聞こうと取材を申し込んだ。(1)市長がミニボートピア栄設置に対して合意をしない法的な又は合理的理由は何か(2)市長は現職又は元市会議員の一部がミニボートピア栄設置阻止又は廃止させるために不法又は違法な行動に及んでいることを知っているのか――など四項目の質問を提出。ほどなく市長広報担当者から「取材には応じかねます」との回答がきた。
それにしても、このミニボートピア設置をめぐる反対派一派が繰り返している悪質な妨害行為を、河村市長は知っているのだろうか。中田ちづこ市議(自民)、民主党愛知一区の前国会議員の吉田統彦氏、地元医師会の有力者である可世木病院理事長らは設置反対の中心。既号でも伝えたように、あろうことか元東海テレビ記者までが捏造怪文書作成に加担していた。さらに、ミニボートピアの最終承認者である国土交通省海事局にまで匿名の妨害文書が繰り返し送りつけられている。ある弁護士は「これは完全に刑事事件に相当します。問題は繰り返し出している点で非常に悪質と言える」と断言する。
河村市長は周囲に「反対住民の声を聞く必要もある」と語っているようだが、“犯罪すれすれ”の反対運動にまで理解を示すつもりか。
(成田俊一・ジャーナリスト、3月22日号)