原発スラップ訴訟第7回口頭弁論――豊かな東電人生紹介
2013年4月17日5:55PM
東京電力福島事務所長としてプルサーマル導入を働きかけ、立地部長時代は原発施設の建設業務に携わり、退職すると東電子会社の東京リビングサービス社(当時、東京リ社)社長、そして原発警備会社ニューテック監査役。報酬は、東電社員時代が推定一〇〇〇万円から二〇〇〇万円。退職金数千万円。子会社社長時代は二〇〇〇万円は下らないと思われる。ニューテック時代の報酬は不明。
――これは東電元幹部社員・小菅啓嗣氏の経歴である。原発事故によって多くの人が職を失うなか、こうした豊かな東電人生もある。
本誌掲載の記事をめぐり、「大物フィクサー」などの表現が名誉毀損にあたるとしてニューテック会長・白川司郎氏がジャーナリストの田中稔氏を訴えた訴訟の第七回口頭弁論が三月二五日、東京地裁(吉田徹裁判長)であり、田中氏側の反論が行なわれた。小菅氏はその中で登場する。
小菅氏が東京リ社の社長を務めたのは一九九九年から二〇〇五年。同社の設立目的は「厚生施設、社宅」などの管理運営のほか「労働者派遣」や「警備業」など多数。取引先は東電関連とみられ、原発への労働者派遣や原発警備を行なっている可能性は否定できない。
一〇年五月、小菅氏は白川氏が実質経営するニューテックの監査役となる。同社が原発警備を行なっていることは青森県作成の資料にも明らかだ。核燃料サイクル施設の「関連業務」を行なう会社として紹介されている。ニューテックはまた、東電、青森県、むつ市が共同出資した原発警備会社「六ヶ所原燃警備」を設立、日本原燃から受注している。
小菅氏の周辺には「原発利権」が漂っているようにみえるのだが、白川氏側は「(東京リ社は)福利厚生サービスを行なう子会社にすぎない」と「原発利権」説を否定。なお小菅氏は提訴直後の昨年六月にニューテック監査役を辞任した。
次回の口頭弁論は五月二七日午後一時半、東京地裁六一五号法廷。
(三宅勝久・ジャーナリスト、3月29日号)