朝鮮学校の無償化適用外問題で全国集会――「差別しないで!」
2013年4月23日5:28PM
「朝鮮学校はずしにNO! 全国集会」が、三月三一日に東京都の日比谷野外音楽堂で行なわれた。寒空の下、朝鮮学校の生徒を含めて約六〇〇〇人(主催者発表)が詰めかけ、会場は超満員となった。
「高校無償化」制度は民主党政権下で三年前の四月にスタートした。しかし政府は、適用の可否に際し「個別の教育内容は判断材料にしない」「外交上の問題は考慮しない」としながらも、朝鮮高校生徒については「検討中」「審査中」として先延ばしにしたまま下野した。そして、安倍自公政権は今年二月二〇日付で文部科学省令を改正し、無理やり適用外とした。
集会で千葉大学文学部の三宅晶子教授は、朝鮮学校への差別的対応が、日本も加入する子どもの権利条約や人種差別撤廃条約に違反する、と指摘。政府の対応が日本人に「差別してもいい」というメッセージを与えた、と批判した。
また、全国の朝鮮高校の生徒一〇人が登壇した。神奈川朝鮮中高級学校の男子生徒は「この制度は、生徒個人への支援ではないのか。先輩たちは悔しい思いを胸に卒業していった。自分たちは差別され除外される存在だ、と考える生徒も少なくない」などと語った。
全国の朝鮮学校「オモニ(母親)会」の代表ら二二人も登壇した。神奈川県の女性は、「私たちは、差別やイジメの対象として日本にいるわけではない。在日の基本的人権が踏みにじられることが当たり前になってしまえば、これからの日本はどうなるのか」と熱く語り、会場は大きな拍手に包まれた。
集会終了後、参加者らは銀座の街を「朝鮮高校の生徒にも無償化を!」「差別しないで!」などとアピールしながらパレードをした。拍手して賛同の意を示す市民も多くいたが、“街宣右翼”らは「こーろせ! 殺せ! 朝鮮人」「日本から出ていけ!」などとマイクでがなり立ててパレードを妨害した。
(星徹・ルポライター、4月5日号)