阪急トラベルサポート塩田さん解雇事件――三度にわたり勝利
2013年4月25日11:24AM
本誌の取材に応じたことで、(株)阪急トラベルサポートから「アサイン停止」(事実上の解雇)を受けた全国一般東京東部労組HTS支部の塩田卓嗣委員長に三度目の勝利判決が出た。同社は東京都労働委員会(都労委)、中央労働委員会(中労委)から二度にわたり「アサイン停止は不当労働行為」と断罪されたにもかかわらず、塩田さんを職場に戻さず、命令の取り消しを求め行政訴訟を提起。一方で組合も、都労委命令より大幅に後退した中労委命令の是正を求め中労委を提訴。この裁判の判決が三月二七日、東京地裁であり、中労委命令に続いて塩田さんへのアサイン停止の違法性が認定された。
判決で東京地裁民事一一部(白石哲裁判長)は、会社・組合双方の請求を退け、「アサイン停止を解除せよ」「一年分のバックペイを支払え」との趣旨の中労委命令を維持した形に。また、中労委が申し立てていた「緊急命令」についても、東京地裁は申し立てどおりに認容する決定を下した。
「緊急命令」とは、労働委員会命令を不服として使用者が裁判所に行政訴訟を提起した場合、裁判所が使用者に対し、行政訴訟の判決が確定するまでの間、救済命令を履行するよう命令する制度。緊急命令の決定に対して使用者は原則として異議申し立てはできないとされている。これにより、たとえ阪急トラベル側が控訴したとしても同社は塩田さんのアサイン停止を解除し、バックペイを支払わなければならず、同命令を履行しない場合、会社には命令不履行の日数一日につき一〇万円以下の過料の制裁が科される。
争いを長引かせてきた阪急トラベルサポートだが、今回の判決と「緊急命令」の決定は同社に塩田さんの職場復帰を迫る決定的なものだ。二〇〇九年三月の事実上の解雇から四年。塩田さんの職場復帰を実現するため、組合側は緊急命令の履行を阪急側に求めていく。
(菅野存・全国一般東京東部労組執行委員長、4月5日号)