関東大震災の朝鮮人「虐殺」記述の削除――都教委の回答に反発
2013年5月8日6:51PM
東京都教育委員会が、都立高校の日本史副読本『江戸から東京へ』の関東大震災における朝鮮人虐殺の記述に関し、「虐殺」の文言を削除して「命を奪われ」たと改訂したことが問題になっている。研究者や市民運動家などで組織する「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」はこのほど、削除理由の説明などを求めた都教委に対する公開質問状を提出して回答を得たが、内容に納得できないとして引き続き追及する構えだ。
問題となっているのは、『江戸から東京へ』のコラム中に登場する、都内・両国の「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」の説明文。二〇一二年度版には「数多くの朝鮮人が虐殺された」と解説されていたが、一三年度版から「(碑文に)『朝鮮人の尊い命が奪われました』と記されている」と変更されている。
この変更について都教委側は「残虐なイメージも喚起する」などと説明していたが、「国家責任を問う会」側は都教委に対し、(1)なぜ「虐殺」という文言を削ったのか(2)「生命が奪われた」のが天災のためなのか、あるいは虐殺など人災によるものなのか不明だ――等、一一項目について質問状を提出した。
都教委側がこのほど発表した回答文では、(1)について「(関東大震災の)史跡を紹介する内容としてより客観的な紹介になると考えて行った」と説明。さらに、「(都教委は)虐殺であったか判断する立場にありません」としている。(2)については、このコラムが「生命を奪った主体を明らかにすることを目的とするものではありません」という弁明だ。
これに対し「国家責任を問う会」は、「虐殺という文言を削除した理由の質問に正面から答えていない」と批判。「碑の建立の目的が虐殺された朝鮮人への追悼であり、そうした碑の意味を説明せず、朝鮮人虐殺を隠蔽する内容だ」として、現在再質問状の提出を含めた今後の対応策を検討している。
(成澤宗男・編集部、4月12日号)