12年ぶりにサハリン韓人団訪日――問われる戦後責任
2013年5月9日4:42PM
強制連行など日本の国策でサハリンへ行き、戦後引揚げの対象外とされたサハリン韓人(コリアンの意)団体代表団五人(二世)が、三月二三日から五日間来日。外務省・国会議員・日本赤十字社などを訪れ、いまだ残る問題の解決を訴えた。滞在の間、韓国の支援団体も交えて東京・文京区で証言集会(約八〇人参加)が開催された。サハリン韓人の訪日要請行動は約一二年ぶり。
今回、代表団が政府などに提出した要望書の主な内容は、(1)永住帰国の選択をしない人に、永住帰国者と同様の生計支援を実施する(2)戦後未払いの郵便貯金・簡易保険を基にした支援事業ファンドを設立する(3)二重徴用者の名簿を公開する(4)日本政府は当事者団体と協議する――などとなっている。
二世の代表団が今回強調したのは、高齢化するサハリン韓人一世のためにも問題解決が急を要するという点だ。サハリン州韓人老人協会会長ユン・サンチョル氏によると、永住帰国事業が一世(戦前からの在住者)に対象を限定しているため、子孫らと別れることを躊躇し、帰国できない一世が多くいる。彼ら一世にも、帰国した人々と同様の生計支援がなされると一九九五年当時の与党が約束したが、履行されていないため、おばあさんたちが生活苦にあると訴えた。
サハリンへ強制連行された後に再度内地(日本)の炭鉱へと強制連行された父を持つソ・ジンギル氏(サハリン二重徴用鉱夫被害者遺家族会会長)は「私は父の生死も、自分の本当の名前すらわからなかった」と語った。名前は父の行方を探す過程で最近発見した父の保険記録から判明したという。彼は「日本はなぜひと言も悪かったと謝ることができないのか」と憤る。
韓国ではサハリン韓人支援特別法制定の動きが出てきた。問題の張本人である日本政府や社会が戦後責任をどう果たすのか、改めて問われている。
(梁英聖・在日コリアン青年連合、4月12日号)