「主権回復の日」式典開催に抗議集会――沖縄への侮辱に怒り
2013年5月22日7:24PM
安倍晋三首相が今月二八日に計画している「主権回復の日」式典開催は沖縄への侮辱だ――として一七日、ピースボートやフォーラム平和・人権・環境など六団体が主催する抗議集会が国会内で開かれた。
これには、市民など約一五〇人が参加。冒頭、基調講演に立った東京大学大学院の高橋哲哉教授は、「安倍政権が四月二八日を『主権回復の日』にすると聞いたとき、心から憤りを覚えた。これは政府ぐるみの沖縄へのイジメ、差別ではないのか。沖縄が一九五一年のサンフランシスコ講和条約調印で日本から切り離され、翌年に本土だけが国際社会に復帰した四月二八日は沖縄で『屈辱の日』と呼ばれているにもかかわらずだ」と、批判した。
また高橋教授は、昭和天皇が一九四七年に宮内庁御用掛の人物を介して米占領軍に対し、沖縄の半永久的「軍事占領」を要請した「天皇メッセージ」について触れ、「その後の戦後史は、実際にそのように展開した」と強調。にもかかわらず息子の現天皇が同式典に出席することで政治的に利用され、国会議員や都道府県知事が欠席できないような「踏み絵」としての役割を果たしている現状のおかしさを指摘した。
続いて国会議員の発言に移り、七月の選挙で引退する社民党の山内徳信参議院議員は、米軍によって故郷が基地にされ、今も訪れることができなくなった体験を声を詰まらせながら語り、「なぜあれほどの戦争を経験した沖縄を何度も切り捨てるのか」と批判。さらに安倍内閣が辺野古に新基地を建設しようとしている点について「建設の阻止に日本の平和と未来がかかっている」と訴えた。
なお同日には、沖縄県那覇市内でも「政府主催4・28主権回復式典の中止を求める集会」が開かれた。参加した約三〇〇人の市民は、「政府は沖縄の『屈辱の日』を忘れるな」とデモ行進した。
(成澤宗男・編集部、4月26日号)