規制改革会議で進む保育分野の規制緩和――親の会らが意見書を提出
2013年6月3日5:18PM
規制緩和を進める安倍政権下で今年一月に発足した規制改革会議(議長=岡素之・元住友商事社長、委員一五人)は現在、保育分野の規制緩和の検討を進めている。
第五回会議では保育分野の検討事項として、(1)自治体が認可保育所への株式会社の参入を抑制しないように政府がガイドラインをつくる(2)待機児童が多い都市部で特例的・時限的な規制緩和を認める(3)保育の質についての第三者評価を拡充する、の三点が挙げられた。
子どもが待機児童になり、集団で「異議申立て」をしたグループの親は規制改革会議の議事録を見て驚いた。委員が、親の「デモ」が起こっているから規制緩和を急ぐべきだと述べていたからだ。
第七回会議が開催された四月一七日朝、これらのグループと保育園を考える親の会など四つの団体と子どもを保育事故で亡くした夫妻らは、「私たちは安全・安心な認可保育所の増設を求めているのであって、規制緩和は求めていない」という趣旨の意見書をそれぞれにまとめ、ともに規制改革推進室・厚生労働省におもむき、提出した。
安倍晋三首相は一九日、成長戦略として「五年間で待機児童ゼロ」や「育児休業を一年から三年に延長」することを支援するとしたが、親たちが心配する認可保育所の面積基準や人員配置基準のゆくえは定かではない。そもそも日本の認可保育所の保育士の配置基準、面積基準は先進諸国に比べて低い。専門家や現場からは基準の向上が求められてきたが、一九九七年の児童福祉法改正以降、パート保育士の導入、定員弾力化による面積基準ぎりぎりの子どもの「詰め込み」など、質を下げる方向に規制緩和が進んできた経緯がある。
二〇一五年実施予定の子ども・子育て支援新制度では、質の向上を求める意見を受け配置数の改善が検討されるはずだったが、このままではそれどころではなくなる。
(普光院亜紀・保育園を考える親の会代表、5月10日号)