専門家グループがパブコメで指摘――原発新規制基準は根本的問題
2013年6月10日4:54PM
東京電力福島第一原発事故の収束のメドすらつかない中、パブリックコメントにかかっていた原発の「新規制基準」が五月一〇日で締め切りを迎えた。
「原子力規制を監視する市民の会」は専門家である「新安全基準監視プロジェクト」アドバイザリーグループと同日、東京・参議院議員会館で会見を開き、新規制基準の根本的な問題点を指摘した。
そもそも同グループは、今年二月のパブコメの際、新基準の骨子案について、原子力規制委員会に四三七九件にのぼる意見を提出したが、ほとんど反映されなかった。今回の二度目となるパブコメであらためて意見書を作成した。
意見書では(1)パブリックコメントはやり直すべき(2)原子炉等規制法を遵守して立地評価を行なうべき(3)「重大事故対処設備」に五年年猶予期間を設けるべきではない――などと指摘している。
今回のパブコメの対象は、新基準に加え、研究開発段階での発電炉などに対する規則もあり、合計三〇〇〇ページを超す文書となっている。この大量の文書に対して、期限は一カ月となっており「(市民の)意見を聞く気があるのか疑わしい」(市民の会・阪上武さん)。七月一八日までの新規制基準の施行をめざす規制委が「拙速」に進めている感は否めない。
また元原子力安全委員会事務局技術参与の滝谷紘一氏は、新基準がこれまでの安全審査で最重要項目だった「立地評価」をやめていることを「大改悪」だと批判。立地評価とは、原子炉の位置が周辺住民から十分に離れているかどうかを、敷地境界での被曝線量が目安以下になっているかで判断することだ。「評価をすると多くの原発が立地審査基準に不適合となるからではないか」と滝谷氏は言う。
会見後には、市民有志がこれら問題点を指摘したパブコメを東京・六本木にある規制委に持参した。
(赤岩友香・編集部、5月17日号)