今週の憲法審査会――安倍首相の言動に99条違反の疑い
2013年6月17日2:04PM
五月一六日の衆議院憲法審査会は日本国憲法の第一〇章(最高法規)、一一章(補則)および前文について議論。
第一〇章九九条の憲法尊重擁護義務との関係で、共産党の笠井亮委員が安倍晋三首相の度重なる改憲推進発言や、「九六条改憲議員連盟」の顧問職に就いていることを厳しく批判した。民主党の辻元清美委員も安倍首相が九六条改憲発言を繰り返していることは立憲主義の危機だと指摘。自民党の土屋正忠委員らが「政治家としての意見表明だ」と反論したが、民主党の武正公一幹事が「国会で党総裁としての意見を質してもしばしば逃げる。ご都合主義的使い分けは不当」と指摘した。
「前文」の議論では自民党の保岡興治委員が「ユートピア的発想」で書かれており、全面書き換えが必要とした。同じく日本維新の会の伊東信久委員も「他国に自国の生存をゆだねるもの」と書き換えを主張。改憲派の委員たちは前文に「基本的人権の擁護」が明記されていないのは問題だと口をそろえて主張(いつから改憲派は基本的人権の擁護に熱心になったのか=筆者)。笠井委員がそれは「わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し」という規定に明示されていると反論。奇妙なことに、維新の会の委員たちは代表発言では用意した原稿を読み上げるが、討論になると一言の発言もできなかった。政治的中身の欠如の故か。
(高田健・許すな!憲法改悪・市民連絡会、5月24日号)