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“フクシマ”の真実を伝える場に――福島に原発情報センター開館

2013年7月2日3:11PM

地元の高校生なども参加したセンター開館のテープカット。(撮影/豊田直巳)

地元の高校生なども参加したセンター開館のテープカット。(撮影/豊田直巳)


 福島県白河市のアウシュヴィッツ平和博物館に五月一九日、市民の手による「原発災害情報センター」がオープンした。同館はアウシュヴィッツに収容された犠牲者の遺品や記録写真を常設展示しているが、東日本大震災以後は、原発関連の討論会や写真展も開催。その過程で「原発事故を後世に語り継ぐ」「ヒロシマ、ナガサキそしてフクシマの真実を伝える情報を提供」するため、同センター設立への協力を全国に呼びかけてきた。

 目標額一億円のうち、まだ四〇〇〇万円しか集まっていないというが、壁塗りなどの建築作業の一部を市民ボランティアが担い、この日のオープンにこぎつけた。

 オープンに合わせて同センターでは、立命館大学国際平和ミュージアムの提供を受け、「放射能と人類の未来」展が始まった。ホールに入ると、日本ビジュアルジャーナリスト協会などの協力により、世界の子どもたちの笑顔の写真パネルが来場者を迎える。

 記念式典では同博物館理事長の塚田一敏さんが、センター敷地の一部の放射能汚染を自ら除染したことを語った。また、足尾銅山鉱毒事件で知られる田中正造が鉱毒と闘ったことを紹介しつつ「真理を追求し、真実の光で、ものごとを正確に判断してほしい」と原発震災情報の収集と公開を目指すセンターの意義を訴えた。

 来賓の佐藤栄佐久・前福島県知事は「アウシュヴィッツに学んだドイツは原発を止めたのに、なぜ、日本は事故後もトルコに原発を売り込むのか、ドイツから見ると理解できなかった」と指摘。脱原発を決めたドイツに学ぶべきとして、「(アウシュヴィッツを作ったヒトラーの情報統制の反省から)ドイツでは一つの情報に偏らないように、たとえば放送法は各州によって異なる」と、日本の中央集権的な情報管理の問題点を挙げ、市民の立場から情報を発信しようとするこのセンターの門出を祝った。

(豊田直巳・フォトジャーナリスト、6月7日号)

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