新大久保デモで暴力沙汰に発展――在特会の桜井会長を逮捕
2013年7月2日3:11PM
「ゴキブリ、ウジ虫、朝鮮人を一匹残らず叩きつぶせ」――。在日韓国・朝鮮人が多い居住区として知られる東京・新大久保で一六日、こうした民族差別の「ヘイトスピーチ」を大音響でまき散らす「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のデモが行なわれ、これに抗議する市民を襲撃するなどして同会の高田(通称・桜井)誠会長ら計四人のメンバーが逮捕された。
以前から「民族差別を煽る」として国会でも問題になった在特会の活動だが、五月のデモと比べて三分の一ほど減った約一五〇人が参加。これに抗議して、「差別反対」といったプラカードを沿道で掲げるなどした市民の数は約三五〇人にのぼり、人数的に圧倒した。
高田会長がインターネットで同日のデモ参加者に、「武装せよ」などと呼びかけていたためか、機動隊が多数警備に当たるなど、新大久保一帯は物々しい雰囲気。参加者によると、当日は小競り合いが多発したが、ほとんどは在特会側が殴りかかるなど手を出すケースで、体当たりをされた若者が昏睡状態になり、救急車が出動する一幕も。だが、反撃する市民側も小競り合いに巻き込まれて四人が逮捕された。
これについて、以前から在特会の行動を監視・批判している「差別・排外主義に反対する連絡会」のAさんは、「今まで在特会の行動が野放し状態であったことを考えれば、社会的に批判されて警備側がやっと対応し始めたのかもしれない。だが在特会側と同じ数の逮捕者が抗議した市民から出ているが、暴力の被害者も含まれており納得いかない」と述べる。
一方、こうしたデモが繰り返されることで地元の商店街や買い物客が迷惑しているのも事実だ。すでに少数者への差別や憎悪を煽るデモのコースを変更するよう求めた地域住民の署名が約一万筆分も集まっているが、警察側に動く気配がないのは問題だろう。
(本誌取材班、6月21日号)