山東議員が被災地への暴言――「補償金に群がる動き」
2013年7月12日1:44PM
自民党の山東昭子参議院議員が千葉県習志野市で行なわれた会合で、「被災地では補償金に群がる動きがある」などと発言していたことが関係者の取材でわかった。
山東氏は六月一〇日、前習志野市議・三浦邦雄氏の報告会に出席し、復興が遅れている面などを指摘したうえで、「残念なことに、被災地の一部に補償金に群がろうとする動きがあると聞いている」と発言したという。
山東事務所に確認すると、発言内容については認めた。「聞いている」としたことについては「復興庁から聞いている」としたものの、「補償金に群がる動き」の具体的な内容については回答をしなかった。
復興庁では先般、「子ども・被災者支援法」の方針化をもとめる動きに水野靖久参事官がツイッターで「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる」などとツイートし、反発があがった。水野氏は国家公務員法にもとづいて停職三〇日(六月二一日付)の処分をうけ、根本匠復興相も給与一カ月分の自主返納を決めている。
自民党では高市早苗政調会長が一七日、兵庫県内での講演で「福島第一原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」と発言。被災地からの反発をうけて、本人は後日、発言を撤回している。
福島県の避難者は今年三月時点で一五万四〇〇〇人に及ぶ。自主避難者については県外、海外へ避難した人もおり、正確な数はわかっていない。賠償額はケースによってばらつきがある。
今年三月一一日に「生業を返せ、地域を返せ!」裁判を提起した福島原発事故被害者弁護団の事務局長・馬奈木厳太郎弁護士は、山東氏の発言について「裁判を念頭に置いているとすれば、被災地の実情を理解しているとは言いがたい。故郷や生業を失った人の現状をみれば『群がる』との評価などできないはずだ」と批判している。
参院選が近いが、山東氏の発言は批判を浴びそうだ。
(野中大樹・編集部、6月28日号)